今週は年末進行のため、月刊『アイ・エム・プレス』の
トップインタビューを2件、立て続けに実施した。
ひとつはキッザニアを運営する(株)キッズシティージャパン、
もうひとつは、東京・品川区の中延商店街で
「街のコンシェルジェ」事業を運営するNPOのバリアフリー協会である。
両者はそれぞれに社会貢献的な側面を持つだけに、
ソーシャル・マーケティングの時代到来を予感させられた。
今日はまず、その1社目であるキッザアニアを紹介しよう。
キッザニアは、メキシコ生まれの子供向け職業体験施設。
リアル世界の街並みのミニチュア版ともいうべき施設内には、
お馴染みのブランドが所狭しとブース出店している。
子供たちはここで、各スポンサー企業の仕事を体験。
仕事をするとキッゾと称する専用通貨で給与が支給され、
これを施設内での買い物や習い事に利用したり、
施設内の銀行に口座を作って、貯金したりすることができる。
預金には、半年複利で年10%の利息も付くという手の込んだ仕組みだ。
月刊『アイ・エム・プレス』では、2009年8月号の特集
「リピーターを呼び込め!! レジャー施設の継続利用促進策に学ぶ」で、
リピート来場のフックとなるこのキッゾの仕組みに注目、
ケーススタディとして取り上げたが、現在ではこれに加えて、
「キッザニアクラブ」と称する会員制度も発足。
会員の職業体験実績に応じた専用アクティビティを用意するなど、
子供たちのロイヤリティ向上に向けてのCRMの仕組みを拡充している。
さて、キッザニアがオープンしたのは2006年10月。
創業者である同社代表取締役社長兼CEO 住谷栄之資氏は、
子供たちの意志や体力、考える力が弱まっていることを憂慮し、
こうした事態の改善に少しでも寄与できるのではと、
ある種、社会貢献的な側面を持つキッザニアのコンセプトに注目、
日本での事業化に踏み切ったという。
当時は折りしもCSRがブームとなっていた時期。
CSRの一環としてキッザニアに興味を持つ企業も多く、
スポンサー企業の獲得もスムースに進んだという。
それから3年を経た今日、キッザニアには全日空や三井住友銀行、
モスバーガー、大日本印刷など、さまざまな業種・業態の企業が出展しており、
子供たちはバスガイドやパイロット、ファッションモデル、警察官、
アナウンサーなど、さまざまな仕事を体験することができる。
そして、これを支援するスポンサー企業は、
未来のお客さま、そして従業員候補でもある子供たちが、
自社のブースで仕事をする様に触れたり、直接、話しかけたりすることで、
次々と新たなアクティビティを生み出しているという。
撮影のために、本来は大人だけでは入場できないという
キッザニアの施設内に立ち入ると、
そこには、目をキラキラさせて職業体験をする子供たちと、
スタッフの生き生きと働く姿があった。
それは私にとって、トップインタビューを通してお伺いした、
キッザニアのコンセプトを目で、耳で“体感”した瞬間だった。
同社とスポンサー、そしてお客様をつなぐのは、
未来の地球に生きる子供たちへの想いであり、
それこそが三者のwin-win-win構造を支える基盤といえるだろう。
キッズシティージャパンにトップ・インタビュー
2009年11月28日