昨日は、私の会社が入っているシェアオフィス「NAGAYA AOYAMA」で開催された「『あの街に桜が咲けば』上映会」に参加してきた。これは「桜ライン311」の活動を追ったドキュメンタリー映画。「桜ライン 311」とは、東日本大震災による岩手県陸前高田市内約170kmに渡る津波の到達ラインに10mおきに1万7,000本の桜を植樹するプロジェクトで、津波到達ラインに沿った桜並木を作ることで、後世の人々に“桜のラインより高いところへの避難“を伝承していくことを目指している。昨日のイベントでは、「あの街に桜が咲けば」の上映に加えて、この映画の監督である小川光一さんの講演、さらには、陸前高田の産品を肴に一杯飲りながらのトークタイムが設けられていた。
私は「桜ライン」のことはこの映画を通して知ったのだが、想いを伝えるメディアとして、かつてあった石碑のようなものではなく、桜という花の咲く樹木を選んだところが素晴らしい取り組みだと思った。石に刻まれたメッセージは、風雨にさらされて多少の変化はあっても、基本的には何十年、何百年と変わらずに存在し続けているが、樹木は何十年、何百年と成長という名の変化を続けていく。ましてや桜の木は、春には長い冬眠から目覚めたかのように花を咲かせ、花が終わると新芽が出て青葉の季節を迎え、秋になると落葉して再び長い冬を迎える準備に入るといった具合に、1年の中でもさまざまに表情を変える。こうした変化があるからこそ、地域住民が日常生活の中のふとした時にその変化に気づき、そこに込められた想いを時間を超えて、世代を超えて伝承していくことにつながるのではないかと思った。
映画の中でもうひとつ強調されていたのが、陸前高田の人々に止まらず、全国各地の人々にその想いを伝えていきたいということ。地域を超えて想いを伝えていくためには、Webサイトをはじめとする各種メディアや、今回のようなイベントも重要だ。しかし、それらを超えてさらに深い絆で全国各地の人々をつないでいくためには、 「桜ライン311」の活動そのものに、全国各地の人々を巻き込んでいくことが求められるだろう。私たちが植えた桜がここにある・・・・地縁や血縁、社縁など、現代社会を構成するさまざまなコミュニティと1本1本の桜がリアルにつながれば、「桜ライン311」の活動そのものが全国の人々の想いを載せたプラットフォームとして機能すると同時に、自分たちが植えた桜を見に行こうと陸前高田を訪れる人々が増え、地域経済の活性化にも寄与すると言えるだろう。
「桜ライン311」では、一般の寄付に加え、毎月定額で継続的な寄付を行うマンスリーサポーターを募集しているとのこと。ご興味のある方は、下記ページをご参照ください。
■「桜ライン311」のWebサイト
http://www.sakura-line311.org/
■同サイト内のマンスリーサポーターのページ
http://www.sakura-line311.org/supporter
「桜ライン311」ドキュメンタリー映画「あの街に桜が咲けば」を観て
2014年8月30日