アサヒ飲料(株)では今年2~4月の間、(株)ローソン店頭で同社の「十六茶」「超ファイバーゼロカロリー」を購入すると、(株)ゲームポットのオンラインゲーム内で使えるアイテムが当たるキャンペーンを展開。3社共通のターゲット層である20~30代男性への訴求という目標に対して期待以上の成果を収めた。
アサヒ飲料の商品を対象にコラボレーションを実施
120余年に及ぶ炭酸飲料のロングセラー「三ツ矢サイダー」をはじめ、果汁飲料の「バヤリース」、缶コーヒーの「WONDA」、ブレンド茶の「十六茶」などを製造・販売するアサヒ飲料(株)は、アサヒビールグループのソフトドリンク事業を担う子会社。
同社では2010年2月16日から4月30日まで、コンビニエンスストア大手の(株)ローソン、オンラインゲームの運営を行う(株)ゲームポットとの協業による、「ローソン限定!! アサヒ飲料×ファンタジーアースゼロ あたらしいゼロ、はじまる!! スペシャルコラボキャンペーン」を展開した。
これは、アサヒ飲料の「十六茶」と「超ファイバーゼロカロリー」のいずれかをローソン店頭で購入すると、ゲームポットのオンラインゲーム「ファンタジーアースゼロ」内で使えるアイテムをプレゼントするというクローズド・キャンペーン。
アサヒ飲料の「十六茶」はハトムギ、ハブ茶、昆布など16種類の健康素材をブレンドした飲料。1993年の発売以来、数回にわたって素材の内容や配分を変えつつ継続販売されてきたが、今年、新たなコンセプトとして“朝ブレンド”と銘打って、キャンペーン初日にリニューアル発売された。
また、「超ファイバーゼロカロリー」は同日新発売の商品で、最近のトレンドを受けてカロリーゼロでありながらも、“食物せんい(1日の不足分7,500mg)”と“ビタミンC(1日分80mg)”が摂取できる。この2品とも20~30代の男性をメインターゲットとするものだ。
ターゲット層の一致を見て3社のコラボ・キャンペーンが実現
今回のコラボ・キャンペーンが実現したのは、上記2品の拡販を狙うアサヒ飲料がローソンに提案したことがきっかけ。ローソンの主要購買層も20~30代の男性とあってターゲットがぴったり一致したことで、キャンペーンの実施が決定された。
飲料の店頭プロモーションとしておなじみなのが、容器にミニカーなどをセットする“ベタ付け”の景品。しかし、景品の中身が見えるかたちで商品にセットしなければならないなど一定の規制がなされたこともあり、“ベタ付け”のインパクトは減少傾向にある。
また、販売側のローソンとしても“ベタ付け”は瞬間風速的な売り上げは上がっても、キャンペーン後につながる長期的な効果は期待できないとして、新たな手法を考えることとなった。
オンラインゲーム「ファンタジーアースゼロ」をコラボ・キャンペーンに取り込んだ理由としては、メインターゲット層が共通していること。次に、ローソン限定でのキャンペーン展開が多数の登録ユーザーの来店動機につながり、売り上げおよび口コミの両面で大きな効果が期待できること、の2点が挙げられる。
今回、白羽の矢が立った「ファンタジーアースゼロ」は、アクション性と戦略性の高さを特徴としたアクションゲームで、基本のプレイ料金は無料(ゲーム内の一部アイテムは有料販売)である。最大50対50、合計100人が同時に参加できるゲームであり、ゲーム内で勝利するためにはプレイヤー同士の助け合いが不可欠、などのコンセプトが人気を博し、2010年4月現在の登録ユーザー数は約80万人を数える。
また、プレイヤー同士の助け合いを促す仕組みとして、同サイト内には3種類の掲示板とSNSが開設されており、日々ユーザー間で活発なコミュニケーションが図られている。
「ファンタジーアースゼロ」公式サイト内でのキャンペーン
告知
(c)2005-2010 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.Licensed to Gamepot Inc.
積極的な告知により高いアクセス率を実現
具体的なキャンペーン内容としては、2商品の容器にシリアルナンバーを印刷したキャンペーン・ネッカーを装着、全国のローソン店頭で販売するかたちとした。購入者が「ファンタジーアースゼロ」にアクセスし、ゲーム内にいる「十六ちゃん」を見つけて話しかけると、シリアルナンバーの入力を求められ、入力後に抽選が行われる。景品はゲーム内で使えるオリジナルアバターや「十六茶」をアイテム化したものなどである。
キャンペーンの告知方法は、アサヒ飲料とローソン双方のWebサイトのキャンペーン・ページに詳細を掲示したほか、共通バナーを張り両サイト間の往来を促した。加えて、「ファンタジーアースゼロ」側では、公式サイト内に告知ページを作成するとともに、有効なメールアカウント約22万件にメルマガを配信した。
今回のコラボ・キャンペーンの成果としては、新規顧客の獲得が挙げられる。その証左としてキャンペーン期間中に「ファンタジーアースゼロ」内で入力されたシリアルナンバーが、その総発行数の約12%に達したことがある。応募者の中には、キャンペーンを機に新たにローソンで対象商品を購入してくれた層が多く含まれていると考えられる。このことを受け、アサヒ飲料とローソンでは当初の目標は完全にクリアし、期待以上の成果を上げたと認識している。
一方、ゲームポット側では、ゲームのキャラクターがコンビニ店頭にお目見えしたことで、ゲームの認知度向上に寄与したと見ている。
企業間コラボにおいては、企業ごとの思惑のギャップを埋める作業が最も困難だと思われるが、これは、今後のキャンペーン時の課題と言えそうである。ただし、3社によるコラボ・キャンペーンは一定の手応えを感じさせるものであり、次なる展開への意欲は満々だ。対象商品とゲームの組み合わせによりさまざまなターゲットが想定できるだけに、今後はターゲット・グループごとに最も効果的なタイミングを見定めつつ実行に移していく意向である。
「十六茶」と「超ファイバーゼロカロリー」の容器に装着したシリアルナンバーを印刷したキャンペーン・ネッカー