7種類のメルマガとeメールでお客様の株式取引をバックアップ

松井証券(株)

日本で初めてインターネットによる株式取引をスタートさせた松井証券(株)。インターネットやeメールをフル活用して投資情報を提供。その中からお客様が自分で情報を選択し、自己責任において低コストで株式や為替の取り引きができるよう、強力にサポートしている。

インターネット取引の魅力は「低コスト」「高スピード」「機密性」

 2004年3月期第3四半期(2003年4~12月) 決算で91億円と、過去最高の営業利益を上げた松井証券(株)。同社は1998年5月、日本で初めて本格的なインターネット取引システム「ネットストック」を始めたことで知られる。また、お客様の自己責任による株式売買を推進する一方で、不測の事態に備え、顧客資産の保護のためにひとり当たり10億円の保険にも一番乗りで加入した。この顧客志向の強さが今日の繁栄につながっている。
 同社はなぜネット取引に特化したのだろう。そのメリットを営業推進部 部長補佐の中村茂氏に伺った。
 まず、株式取引に際し、お客様のコスト負担を軽減できる点だ。対面型の証券会社のような外交営業スタッフや支店が存在しないため、コストは圧倒的に安く済む。同社はこれをお客様に還元し、株の売買手数料を10分の1に引き下げた。1日の約定代金の合計が300万円までなら何回売買しても手数料は3,000円という「ボックスレート」である。さらに4~12月は、1日の約定代金が10万円までなら手数料無料(2005年より1日10万円まで500円)、1日に同銘柄を売買した場合の片道手数料を無料とする新料金体系を発表した。複数の取引手法を併用してもインターネット経由なら携帯電話やPDAからでも上記「ボックスレート」が適用される。また口座管理料、株券保管料、預株制度利用料もすべて無料。ちなみに預株制度とは、同社に預けた株を貸し出し、一定条件を満たせば預株料として収益が還元される仕組みだ。
 2つ目は、証券会社の営業時間に限られる対面型取引に対して、ネット取引なら24時間いつでもお客様の都合で取引できる点だ。また、ネット取引はお客様のリスク管理にも優れている。例えば、信用取引で追加委託保証金(追証)が発生した場合なども、お客様へ速やかに連絡できるので、続行か打ち切りかの判断が速やかに行える。刻一刻と変動する世界の主要7通貨の為替取引にも非常に便利だ。
 3つ目は、こうした売買や連絡などをお客様の会員画面で行っているので、一般的なメーラーのように他人からeメールを覗かれる心配がなく、お客様の個人情報のセキュリティ管理が万全な点だ。
 4つ目は、お客様が営業担当者からの銘柄紹介や取引誘導など煩わしい電話を受けずに済み、気兼ねなく自分のペースでじっくり取引できる点。
 5つ目は、入金時にお客様に振り込みの手間や、手数料を負担させない点だ。ジャパンネット、東京三菱、三井住友、UFJ、みずほの5行と郵貯からのネット入金では、手数料無料で振り込むことができる。
 同社のネットストック口座数は、現在12万口座、うち信用取引口座は3万4,000口座ある。1日の約定件数は平均4万件、月間売買代金は1兆円を超える月もある。同社ではこれらのお客様に対し、リアル&バーチャルの両面で、さまざまな情報提供を行っている。
 まずリアルな情報提供としては、エリアや取引年数などの経験レベルに合わせて毎月開催している各種株式セミナーを、eメールで12万口座に案内している。もちろん、申し込みはネットで行える。
 また、Web上のQuick「リサーチネット」を利用すれば、リアルタイムで各銘柄の株価・チャート・スクリーニング・ポートフォリオ、上場企業の概要・業績推移・財務状況、週間予想、人気エコノミストの戦略レポート、トップアナリストの業種レポートなど豊富な投資情報を無料で簡単に見られる。
 このほか、「ネットストックトレーダー」や、「ディーリングブラウザ」といった会員専用の詳細な有料株価情報サービスもある。これらにはプロのディーラー並みの情報が満載だ。前者には、日経平均やTOPIX、先物・オプション取引状況、テクニカルチャートや最新株式ニュース、売買高や売買代金のランキングもリアルタイムで表示される。後者では、30種類のテクニカルチャート分析や、ニュースを反映したリアクションチャートの検証ができる上、ヘッジファンドなどスプレッド取引をサポートする専用画面、外国為替の市況やチャートも表示される。また平均5分に1本ずつ1日約75本の株式ニュースの配信や、音声による株価読み上げ、設定した株価を通知するリミットマインダー、各種ランキング表示などのサービス機能も付いている。

ビジネス系では国内最大級の配信数 メールマガジンでお客様をバックアップ

 新しいサービス情報の告知については、ホームページだけでなく、取引会員にはeメールでも個別に行っている。毎日チェックするお客様が多いためだ。
 このほか、計7種類のメールマガジンを発行している。ホームページ上でアドレスを登録しておけば、会員に限らずeメールを受信できる人なら誰でも講読が可能だ。ビジネス系のメールマガジンでは、1日15万部と国内最大級の配信数を誇る。
 中でも一番人気が、毎日発行される配信数約8万部の「マーケットプレゼンス」である。特に、テクニカル指標、ネットストック人気銘柄ランキング、ブルベアや先導株比率が好評を博している。毎週火曜日には時事コラム、週末にはアナリストレポートも掲載される。この姉妹版に、前場引けと後場引けの1日2回配信する「マーケットプレゼンス・リアル」や携帯電話用がある。さらに外国為替取引に関する情報が毎日配信される「NetFx」、初心者や女性投資家向けに料理のレシピや暮らしに役立つお金の話などを添えた「ランチBOX」、 週1回配信の同社社長の語録「道夫が吼える!」、未上場株の売買状況や株価動向などを伝える「グリーンシートマガジン」などがある。
 もうひとつ、同社が始めたeメールビジネスの決定版が「トリガーメール」。これは、お客様が指定した1銘柄が設定した目標価格に達すると、携帯電話にeメールで自動通知する無料サービスだ。これなら問い合わせる手間も省け、どこにいてもタイムリーに注目銘柄の情報が入手でき、売買チャンスを逃さずに済む。
 当然のことだが、取引にかかわる事務手続きにも、eメールを使っている。会員画面内で配信された「取引報告書」や「取引残高報告書」などの電子交付書面は、5年間保存されるので書類管理の手間がかからない上、紛失を防げる。必要に応じてお客様が自分のPCに保存することも可能だ。また、機械的に改ざんができないので、確定申告にも公式な証明書として使用できる。さらに、個人取引専用画面のボタンを押すだけで、信用取引担保同意書や新規公開株式目論見書兼申込書、外国証券取引兼累積投資口座開設同意書、カバードワラント取引同意書に返答することもでき、郵送による書類のやり取りで発生するタイムロスやコスト負担、第三者ヘの情報開示リスクを一掃できる。
 残る口座開設だけは、個人認証にまだ本人の署名・捺印が必要なため、2週間近くをかけて郵送で書類の授受が行われているが、これも法制度が変われば、ネット上でできるようになる可能性もある。
 以上のサービスは、営業推進部で行っているが、お客様からの問い合わせヘの対応は、顧客サポート部が60人体制で行っている。1日当たりの問い合わせ件数は約1,000件、このうちeメールが3分の1を占め、実際に口座開設に至るのは、1カ月当たり約4,000件だという。問い合わせ内容で多いのが、税金と同社の取引ルール、株券の移管と預株制度、手続き方法、手数料についてなど。問い合わせにスピーディーに対応するために、必要事項をデータベース化しており、会員からの操作方法に関する質問には、サポート画面を開いて対応している。
 ここに寄せられた苦情や意見、およびお客様へのフィードバック情報などを毎週1回営業推進部との合同会議に提出し、共有した上で、改善が必要な点については速やかに実行に移しているそうだ。


月刊『アイ・エム・プレス』2004年3月号の記事