昨年来、VOC(Voice Of Customer)活動がブームともいえる状況を呈している。
恐らくはコールセンターの世界からはじまったものと思われるが、
考えてみればブログやSNS(Social Networking Service)などの
CGM(Consumer Generated Media)だってVOCに違いない。
弊社は小さな会社なので、カスタマーサービスの担当者がいるだけで、
コールセンターなんてものはないが、それでも月刊「アイ・エム・プレス」
をはじめとする弊社商品に関するお問い合わせやご指摘は、
日々、電話やeメールで寄せられている。
今週のある日、編集スタッフAが私のところにやってきて、
3月15日発行予定の「CRM年鑑 2007」について、
「予約をキャンセルしたい」というお申し出があったという。
なぜだろう? と疑問に思ったAは、そのお客様に理由をうかがったところ、
「『CRM白書』と勘違いして予約をしてしまった」とのこと。
しかし、実は「CRM白書」というのは「CRM年鑑」の以前の書名で、
1年前に発行した2006年版から名称変更したという経緯がある。
一方、そのお客様は、2005年版の「CRM白書」をお買い上げくださっていたので、
その改訂版を購入したいと思っておられたのだ。
結果、事情をご説明することで、キャンセルという悲しい事態は免れたのだが、
「CRM白書」と「CRM年鑑」が同一の書籍であることを知ったそのお客様は、
「では、2006年版もあったのですね」と言われたそうだ。
Aはこのお客様とのやりとりを通して、書名を変更したことに伴い、
「CRM年鑑」の販売機会を逸しているのではないか、と申し出てきたのだ。
書名の変更がそうしたリスクを孕んでいることは踏まえており、
昨年の変更時にはその旨を大々的に謳ったつもりだが、
そのことをご存じないお客様がいらっしゃるのは、当然と言えば当然。
書名変更から1年を経て、社内では過去の経緯を忘れがちになっていたが、
特に書名変更前の「CRM白書」をお買い求めいただいたお客様には、
事の経緯をきちんとお伝えし続けなければいけないことを改めて痛感した。
これは弊社におけるVOCをきっかけとしたひとつの“気づき”。
これを受けて弊社の販促担当は、「CRM白書」をお求めいただいた方を対象に、
書名変更に関するリマインドを兼ねた
「CRM年鑑 2007」の発売告知キャンペーンを展開することを決定。
詳細は次回の販促会議で決定するが、このキャンペーンが成功すれば、
VOCをきっかけとした“気づき”は、会社の収益に繋がっていくことになる。
ところで、今回、お問い合わせをいただいたのが、
某大手広告代理店の方だったということから、もうひとつ思ったことがある。
今や大企業においては、イントラ上にナレッジポータルやら、
電子購買システムやらが整備されているだろうから、
そこに「CRM白書」で登録されてしまうと、
出版社側が、いくら「『CRM白書』は『CRM年鑑』に書名変更しました!」と、
声高に叫んだところで、いざ購入しようという段階になると、
「これ、違うんじゃない?」ってことになってしまうのかもしれない。
(社内ポータルをご利用の方、御社ではどうなのか、教えていただけませんか?)
もっと言えば、まずはネットで検索して、あらかじめ検討してから購入する、
という近頃の購買プロセスを踏まえると、「CRM白書」をお求めいただいた方は、
「CRM白書」というキーワードで検索して新年度版の有無を確認するんだろうな。
私たちは“ヒト”の記憶と“システム”の記憶が異なる時、後者を頼りにしがち?
弊社は古いコンテンツもサーバに置いてあるので大丈夫だが、
「CRM白書」で検索したお客様に成り代わったつもりで、もう一度、
Webサイト上の表現を見直す必要もあるかもしれない。
弊社はたった10人ほどの小さな会社だが、それでもVOC活動は実践できる。
ナレッジポータルがあるわけじゃないし、上記はすべて人力での活動だが、
いくら情報共有のためのシステムが整備されていたって、
“気づき”がなければ始まらないし、入力しなければ蓄積も共有もない。
ただ、人力方式のデメリットは、人間の記憶力の限界かな。
私自身も気づくのは得意だが、せっかくの気づきを忘れるのも得意技だ。
さて、「CRM白書」を「CRM年鑑」に書名変更したことをここまで何度も書けば、
このブログの読者の方は、さすがに頭にインプットしていただけましたよね?
なんちゃって~。<笑>
VOC活動の成果
2007年3月3日