さっき、長文ブログを書いたのに、誤って消してしまった。<泣>
気を取り直して、再生してみます。
ホリエモンの一件以来、テレビとネットの融合の話題が喧しいが、
既存のテレビ番組とネットの連動も進んできているようだ。
①インターネットでテレビ番組を告知する(プロモーション)、
②番組の感想をインターネットで収集する(コンタクトセンター)、
③一部の番組をインターネットで配信する(デリバリー)、
④インターネットを直接、番組作りに活用する(コンテンツ開発)、
などがあるが、中でも今回注目したいのは、
④のインターネットを直接、番組作りに活用することだ。
私はあまりテレビを見ないほうなので、詳しくはわからないが、
④の例としては、NHKなどが視聴者参加番組を行うに当たって、
スタジオに実際に視聴者を招いて意見を聞くだけでなく、
インターネット&FAXで視聴者の意見を募り、
その結果を番組で紹介するといったものが挙げられる。
これはかつては電話&FAXで行われていたことでもあり、
いまや珍しくもなんともないが、
一昨年ぐらいにどこぞの民放局がスタートした、
視聴者にケイタイで川柳を投稿してもらい、
スタジオにいる審査員が審査を行う番組を最初に見たときには、
うーん、こういう時代になったのか・・・と唸らせられた。
両者を比較すると、前者がリアルにせよバーチャルにせよ、
主役となる人・物・事を演出する要素として
視聴者の声を扱っているのに対し、
後者では視聴者の投稿を主役として位置付け、
審査員は主役を演出する側に回っていると言えるだろう。
④の例として、また新たな切り口を感じさせてくれるのが、
土曜の夜11時45分からフジテレビ系列で放映されている新番組、
「くるくるドカン」である。私は先々週、先週と2回に渡り、
たまたまこの番組を部分的に見たのだが、そこには、
インターネットの番組作りへの活用の新たなスタイルがあった。
同局のWebサイトによると「くるくるドカン」は、
いま何が流行っているのか、また、これから何が流行るのかの予兆を、
検索を使っていち早く発見し、紹介するバラエティ番組。
昨晩のゲストは小泉首相の子息である小泉孝太郎氏。
過去数年間の小泉氏の氏名による検索数を棒グラフで表示し、
検索数の多い時期を特定すると同時に、
検索数が増加した原因を、当時の社会情勢や、
検索時に氏名と合わせて入力された検索ワードなどから分析。
また、孝太郎氏とお父さんの検索数推移のグラフを重ねることで、
その相関を見るといったアプローチもなされていた。
私が見た範囲では、過去の事象の分析はされても、
Webサイトにあるような未来の予測はなされていなかったが、
より広範囲かつ詳細なアクセスログの分析をすれば、
ある程度のことは予測できるのだろう。
ちなみに検索数推移のグラフには、Yahoo!と記されていた。
「くるくるドカン」のWebサイトには、
インターネットにより寄せられた視聴者の声が紹介されている。
その多くはMCを務めるタレントのファンからのたわいない感想だが、
中には「自分が検索したワードが出てくると嬉しい」という声もあった。
彼にとっては番組に「自分が検索したワードが出てくる」ことが、
番組作りへの参加意識に繋がっているのだろう。
これは、前出の番組の主役を演出する要素としての視聴者の声の活用、
これを一歩進めた、番組の主役としての視聴者の投稿の活用のように、
視聴者の声や投稿を番組が直接収集しているわけではないが、
ある種、間接的な視聴者の参加を演出していると言えるだろう。
そして、先ほどの2つの例に倣って言えば、
これは投稿というアクションを起こした一部の視聴者ではなく、
「マス」としての視聴者の興味の対象を検索を通して把握し、
これを番組を通じてMCが解説するという、
視聴者主役の番組作りの新たなスタイルなのではないだろうか。
前出の2つの例と違って参加性は希薄だが、
参加者数は比べ物にならないほど莫大な数に上るだけに、
これが本番組の視聴率にどれほど寄与するのかも興味津々である。
ここでちょっと視点を変えて、インターネットに限らず、
他メディア連動型の番組作りとしては、
全国紙やスポーツ紙、週刊誌の記事を紹介する手法が存在する。
これは○月○日のニュースといった時間軸で斬ったり、
特定の事件についての各メディアの取り上げ方を比較するもの。
「○○新聞」や「週刊△△」をある種パラメーターとして、
多様な角度から事件を立体的に見ることで真相に迫ったり、
うがった見方をするなら、同じ事件について各々のメディアが
どのような取り上げ方をするかを比較することで、
各メディアの特徴を掴んだりするのが主旨と言えるだろう。
これらと比較すると、「くるくるドカン」のパラメーターは
あくまでもネットユーザー=検索エンジンユーザー=マスであり、
とどのつまりはテレビの視聴者が主役。
それだけに、天下のマスメディアと言えるテレビらしくもあるが、
一方では、Web2.0的な番組作りの手法とも言えるのではないか。
冒頭に触れたホリエモンの一件から1年ちょっとを経て、
ライブドアは上場廃止になった。
ライブドアが「テレビとネットの融合」を旗印に、
ニッポン放送株の買収に乗り出した時には、
「ホリエモンがんばれー」と応援したい気持ちはあっても、
融合への具体策が見えないことに疑心暗鬼の念を拭えなかったが、
この1年余の間、テレビ側からも、そしてネット側からも、
さまざまな取り組みが模索されてきた。
そのチャレンジを地道に繰り返している人にこそ、
エールを送りたいと思う。
TV番組とネットの連携
2006年4月16日