DMW関西25周年イベント

2010年4月11日

先週の金曜日、このブログでも何度か紹介したことがある、
26年来のダイレクトマーケティングの勉強会、
「Direct Marketing Workshop」(DMW)のイベントで大阪に行ってきた。
DMWは26年前に東京でスタート、その後関西、名古屋、九州に発足し、
現在では全国4地区で活動を行っているのだが、
今回のイベントはこのうちDMW関西の25周年記念。
25年来の仲間、その後、新たに加わった仲間を加えて、
約50名が梅田の会場に募り、各地区の“古株”の記念講演を経て、
恒例の「のみな~る」(飲み会)、そして二次会、三次会・・・が開催された。
私は三次会まで参加したのだが、3軒も飲み歩くのは久しぶり。
DMW発足当初は、先輩方に連れられて夜が白むまで飲むことも珍しくなかったが、
最近は酒豪の先輩たちの退散で、そんな機会はめっきり少なくなった。
DMW東京の講演は私にお鉢が回ってきたのだが、そのパワポを作成する過程で、
これまでのDMW東京の26年間の歩みを振り返ると同時に、
その間のダイレクトマーケティングの変遷について考える機会を得た。
まず、DMW東京が発足した1984年は、折りしも日本初の
ダイレクトマーケティング・エージェンシーが誕生した年。
1980年代にはメディア、クリエイティブ、商品開発、顧客開発、組織体制、
フルフィルメントなど、通販の構成要素をテーマに研究会や講演会を開催。
1988年には、日本テレマーケティング協会が発足したが、
DMWのテーマに目を向けても、1980年代後半には
テレマーケティング関連のテーマが散見される。
また当時は、ニューメディアの実験が活発化した時期でもあった。
1990年代に入ると、前半には金融・旅行などサービスの通販、
B to B、プロモーション、コミュニケーションなど、
通販以外のダイレクトマーケティングにかかわるテーマが増加。
後半には1995年のWindows95の発売を受けて、
PC通信やCD-ROM、ネットの活用にかかわるテーマが増加する一方、
テレビショッピングやFSP(ポイントプログラム)、
日本に進出した欧米のダイレクトマーケティング支援企業の
外国人講師による講演も目を引いた。
そして2000年代に入ると、折からのCRMブームを受けて、
CRM関連のテーマが目立つと同時に、営業担当者の支援、クリック&モルタル、
企業間のアライアンスによるダイレクトマーケティング、
そして2005年の個人情報保護法施行を前に、プライバシー関連の講演会も強化。
後半には、EC、デジタル・プロモーション、ソーシャルメディアなど、
Web2.0を含むネット系のテーマがますます増加する一方、
紙媒体ではバリアブル印刷を駆使したOne to Oneの話題も登場。
併せて、レジ・クーポンなど店頭におけるダイレクトマーケティングや、
サービスにかかわるテーマにも取り組んできた。
以上からもおわかりのように、DMW東京では、
ダイレクトマーケティング>通信販売という先輩の教えに従い、
通信販売のみならず、広義でのダイレクトマーケティングをめぐる
研究活動を26年間に及び継続してきた。
そして、顧客のパワーが強くなったと言われる今日、
Direct、Relationship、One to One、Interactive、
Integrated Marketing Communication、Accountabilityなどの
要素を併せ持つダイレクトマーケティングは、
通販会社のみならず、あらゆる企業にとって
欠かすことのできない戦略となっている。
改めて振り返ってみると、ダイレクトマーケティングはそもそも、
「メディアや口コミで商品の情報を吟味した上で、
店頭を訪れて商品の現物を確認、店員に不明点を尋ね、
購入商品を決定、代金を支払って、自宅に持ち帰る」という
店頭での購買プロセスの“一部”、あるいは“全部”を
サービス化していると言えるのではないか。
その“全部”をサービス化しているのが通信販売であり、
一部をサービス化しているのは、デジタル・プロモーションであったり、
「続きはWebで」とサイト訪問を訴求するクロスメディア展開であったり、
コミュニティサイトであったり、コールセンターであったり・・・というわけだ。
この26年間において、ダイレクトマーケティングに
最も大きなインパクトを与えたのがインターネットであることは論を待たない。
現に日経の発表によると、2008年の通販売上高8兆円超のうち
ネット通販がほぼ4分の3の6兆2,300億円を占めている。
そしてインターネットは企業と生活者のみならず、
生活者と生活者、そして企業と企業をネットワークする。
このことは、これまで“部分最適”に甘んじていたダイレクトマーケティングが、
限りなく“全体最適”に向かっていくことを意味している。
換言すれば、DMWの発足から26年を経た今日、
ダイレクトマーケティングは、「PDCAサイクルに基づき
デマンド・チェーンを運営し続けること」を意味するようになった。
これが、私の講演の結論である。
DMW関西の25周年記念のイベントは、
50周年までがんばろうという掛け声とともに締めくくられた。
今から25年後、DMWの中でも“古株”扱いされるようになった私自身が
どうなっているかは神のみぞ知るという感じだが、
ダイレクトマーケティングが心ある企業、そして生活者に支えられて、
より良い社会の実現に寄与していることを願って止まない。