COPCの規格改定

2005年9月29日

9月23日の「9月のライブ」と題したブログのコメント欄を通して、
参加者のお一人であるkuroさんから、追加の質問が寄せられた。
ゲストスピーカーの菊地さんからのお返事は、
同日のコメント欄に入れていただいたが、加えて、
kuroさんの質問で取り上げられている、コールセンターの品質規格、
COPCの規格改定について、同規格に基づくコールセンターの
監査を行っておられるプロシードの畑中さんへ質問を投げかけたところ、
eメールで以下のようなお返事をいただいた。
ちなみに畑中さんは、弊誌のコメンテーターのお一人でもある。
畑中さん、菊地さん、そしてkuroさん、どうもありがとうございました。
※以下、畑中さんからのメールのコピー
1)から3)に飛んでいるが、原文のまま
西村さん、
メールありがとうございます。ライブがきっかけで、COPCについて討議されているのを読み嬉しく思います。ただ、今年8月にCOPC規格の改訂版を出しましたが、まだ説明会や資料が十分でなく、皆様にご心配をおかけしているようなので、いたく反省した次第です。ES項目が規格からは削除されたのですが、全体のシステムから削除されたわけではなく、またESに対するマイナス面があるからでもありません。この場を借りてご説明させていただきます。また早急に資料などを用意し、弊社WEBからもダウンロードできるようにしたいと思います。
今回の規格改訂は次のような目的で行われました。
1) COPC規格は標準的な規格(従来のベース規格)に加えて、ゴールド規格がありますが、今回の改訂では標準的な規格からかなりの項目数が削除されました。スリム化した目的としては、初めてパフォーマンスマネジメントシステムに取り組むユーザにとって最初の到達点を示すものとし、パフォーマンス向上にフォーカスした規格内容に改訂しました。いわばスタートアップキット的な位置づけのものへとスリム化したわけです。COPC規格に取り組んで最初に認証取得した時点で、パフォーマンス向上の効果が顕著に現れ、それまでの平均的なパフォーマンスから、一段とレベルアップできるツールとしての意味を強めようとしたわけです。今回の改訂の狙いですが、規格要求項目を減らすことによって取り組みやすくしつつ、パフォーマンス向上という導入効果を実現することで、ユーザのすそ野を広げようと考えています。
3) ゴールド規格は、その後にチャレンジする到達点として位置づけられています。ゴールド規格からは殆ど何も削除されておらず、従来のようにESの概念が含まれています。ゴールド規格では、パフォーマンスマネジメントシステムの包括性を高め、組織の継続的改善を実現するための要素が盛り込まれています。
ブログの kuroさんのご意見にありますように、ESがパフォーマンス向上に結びつきにくいというのは事実そうだと思いますが、組織マネジメントでは不可欠な要素だと思います。COPC規格では顧客の声を分析して組織の品質改善などに活かそうとCS分析を重要視しておりますが、同時に組織内のスタッフの声を集約・分析することによって改善に役立てることも重視しています。スタッフからの声を集める活動には、働く目的意識の共有、職場環境の改善、業務プロセスの改善などいろいろな意味合いを持たせることが可能であり、実際、企業ごとにその取り組みはさまざまな意味合いがあるようです。いずれの場合も、取り組みの目的が明確であり、それに沿って社員の声の収集や分析、改善が行われていると、その効果も高いようです。最近は労働組合活動も弱く、働く人の立場を尊重できているかというと疑問なケースも多いと思います。結果的に、働く人のモーチベーションが低いと、効率的な企業運営ができず、結果的には無駄なコストになやまされる結果に陥ってしまうでしょう。とここまで少々抽象的ですが、例えば、具体的にはアメックスの木名瀬副社長が3年前に出した「人事改革の法則」など、ESの活用事例としてはバイブル的一冊と思います。(畑中)