第4回では、クロージングに当たっての苦労話をちょっとだけ披露させていただきます。会社のクロージングはすなわち、山のような事務作業との闘いでした。そもそも会社を閉じるのは手間が掛かるからと、営業活動を停止したまま放置する方も少なくないと聞きますが、当社の場合はクローズ後の法人住民税の課税を確実に回避するなどの理由から、登記を抹消(清算結了)することを決めました。そのプロセスは、解散の決議から清算結了に至るまで少なくとも3回に及ぶ株主総会の開催を求められたり、最終事業年度の確定申告に先駆けて2ヶ月間の公告・催告期間を設けることが求められたりするため、当社のような零細企業であっても、準備期間を含めると半年ほどの長期戦を余儀なくされました。
解散の決議から清算結了に至るまでの手続きそのものは、司法書士や税理士、社会保険労務士、そして時には弁護士や弁理士などのお世話になりながら、私自身は必要な伝票などを整理したり、作成していただいた書類を確認したり、完成した書類に捺印したり、株主総会を開催したりすれば良かったのですが、当社の場合は出版事業を行っていた当時からのたくさんの契約が残されていたこと、および私が今後もフリーランスとして事業を継続するために一部の契約の法人名義から個人名義への移行を決めたことが、山のような事務作業を招く結果になりました。
登記所・税務署・社会保険事務所・労働基準監督署など関連する官公庁、銀行・保険会社・カード会社など各種金融機関、顧客DB、Webサイト、インターネット・電話・郵便などの通信インフラ、オフィス関連、GAFAMを含む各種ITサービス、加盟団体、講読メディアとその数は100件にも及び、かつ、解約方法に関するWeb上の説明がわかりにくいところや、不明点を問い合わせるにも電話での問い合わせは受け付けておらず、eメールやチャットで問い合わせなければならないところも少なくなく、中には10年以上前に登録した元社員のメアドを使わないと問い合わせができないようなケースもありました。
また、税理士に〇月〇日までに利用を停止し、〇月〇日までにすべての決済を終えるようにと言われる中、解約のタイミングも大きな問題でした。中にはサブスクによる契約もあれば、クレジットカード決済の契約もあるという中、「〇月〇日~〇月〇日の利用代金が〇月〇日に加盟店からカード会社に請求され、それが〇月〇日に当社の銀行口座から引き落とされる」ということは、そもそも契約先とカード会社の双方に問い合わせないと明らかにならず、かつ契約先の複数部門に問い合わせないとわからないことも少なくないことから、まさに心身尽き果てるかのようなこの半年間でした。
本件については、Web画面の設計からコールセンター対応に至るまで、お話ししたいことは山ほどありますが、長くなるので、このぐらいにしておきます。
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