先週は、なんと20ウン年ぶりの方にお目にかかった。
私が前職である市場調査会社に勤めていた頃に、
何度か取材させていただいたことがある、
(株)大トウ米谷善文社長である。
大トウは大阪の会社なのだが、何週間か前に、
氏が東京で講演をするので参加しないかとの連絡をいただき、
締め切り前の多忙な時期ではあったが、
思い切って出かけていったのだ。
講演のテーマは、「モバイル活用最新販売促進手法」。
同社は食品製造・卸を主業とする企業で、
かねてより取引先の食品小売業の販促支援を行っていたのだが、
今回はその中でもモバイルの活用事例を紹介するというものだった。
「CHANGE—競争(価格)から共創(価値)へ」という掛け声で始まった、
そのプレゼンテーションはまさにモバイル・マーケティングの事例の宝庫。
米谷氏のアイデアの豊富さに圧倒されているうちに、
40分の講演時間はあっという間に過ぎ去っていった。
振り返ってみれば、私は過去に確か2度ほど、
同氏に取材させていただいたことがあるのだが、
当時は、取引先の米穀店を対象に、当時、普及し始めた、
家庭用のFAXによる御用聞きの仕組みを展開されていた。
とにかく昔のことだけに記憶が定かではないが、
確か米の御用聞きの仕組みの上に、
米以外の重量のある商品や、シャディのギフトなどを
載せておられたのではなかったか。
それから20年ウン年。
同社の取引先の主役は米穀店からスーパーへとシフトすると同時に、
当時のFAXによる御用聞きは、モバイル・プロモーションへと
姿かたちを変化させていったのだろう。
当時、同氏に取材させていただいた内容は、
確か「新・無店舗販売」という調査リポートに掲載したと記憶しているが、
思えば、当時はブームの様相を呈していた“無店舗販売”という言葉も、
今では耳にする機会がめっきり少なくなった。
この20ウン年間のマーケティング環境の変化には
何ともめまぐるしいものがあったが、小売業における販促の本質は変わらない。
そして、“現場大好きな関西人”である氏は、新たな環境と道具立ての中で、
今もなお、目からウロコの販促アイデアを次々と生み出し、実践している。
私はと言えば、次から次へと紹介される事例に圧倒されつつも、
氏の底知れぬパワーに頭が下がる思い。
そして、20ウン年ぶりに出会ったとき、そして別れるときの
氏の力強い握手に、言葉にできないほどの“意味”を感じた。
20ウン年ぶりの出会い
2010年3月8日