顧客接点における経験価値

2007年1月19日

このところ、顧客接点における経験価値が話題になることが多いが、
私自身、今年に入って2回ほど、ちょっと嬉しい経験をした。
ひとつは、京王井の頭線の車内放送。
井の頭線はいつも混雑していることで知られる電車。
ある日のこと、私は渋谷から井の頭線に乗り、下北沢に向かった。
深夜にもかかわらず、車内は大勢の乗客でごったがえしており、
下車駅である下北沢についたもののも、
必死で人を掻き分けないと降りられそうもない様子だった。
そんな中、男性乗務員の声で車内放送が流れてきた。
曰く「ゆ~っくりとお降りくださ~い」。
速く降りないとドアが閉まっちゃうとあせっていた私は、
このどこか長閑な車内放送を聞いてホッとしたのはもちろん
その粋な計らいに思わず笑みがこぼれてきた。
そう思ったのは私だけではないだろうから、
この車内放送は事故防止にも繋がっているに違いない。
もうひとつは、新宿の伊勢丹の靴売り場でのこと。
私は洋服や靴やバッグなどのファッション商品は、
年に3~4回、百貨店で一気にまとめ買いをすることにしている。
こうした時にはカジュアルな格好をして行くものだから、
ストッキングを履いているなんてことは断じてない。
そこで、パンプスなど仕事用の靴を買うとなると、
まずは店員さんにお店に置いてあるハイソックスを借りて、
これを履いた上で靴を試し履きすることになる。
どの百貨店でも、靴屋でも、こうした女性客の要望に応えるために、
ハイソックスを用意しているのだが、その多くは使い古し。
すなわち、同じハイソックスを何人もの女性客に貸し出している格好だ。
しかし先日、伊勢丹の店員が持ってきてくれたストッキングは何と新品。
それも、私の目の前で商品パッケージから取り出し、丁寧に手渡してくれたのだ。
これまで、店頭で使い古しのストッキングを履くたびに
いくばくかの抵抗を禁じえなかった私にとって、これは願ってもないサービス。
しかも、購入する靴を選んでストッキングを返そうとすると、
「よろしければ、お持ちください」と一言。
正直言っていらないのだが、そんな客の心情を察してか、
押し付けがましくないその態度も、なかなか好感が持てた。
蓄積されたポイントがキャッシュバックされる
ポイントプログラムの導入企業は数多いが、これはあくまでもお得なサービス。
もちろん、私もスーパーや薬局などでは、
特定の店のポイントをせっせと蓄積しているのだが、
企業間での相乗りが増えるに連れてポイントは第二のマネーと化し、
提供企業へのロイヤルティとの関係が希薄化している気がする。
これに比べて、顧客接点でのこうしたサービス(経験価値の向上)は、
私達をちょっと嬉しい気分にさせ、提供企業へのロイヤルティを
確実に向上するのではないだろうか。