通販会社のマルチチャネル戦略

2005年9月17日

以前にこのブログでも紹介したように、月刊「アイ・エム・プレス」
11月号の特集は「通販会社のマルチチャネル戦略」(仮題)。
特集の構成は、①総論、②ケーススタディ、③専門家へのインタビュー。
目下、編集は②ケーススタディのアポイント取り→取材を行っている。
そんな中、今週は③専門家へのインタビューの一環として、
ソフト&ロジック(大阪)の水沼さんへのインタビューを行った。
水沼さんは、これまで何度か、弊誌にデータ分析などの記事を
ご執筆いただいているが、特集のインタビューで取り上げるのは初めて。
過日、大阪で開催された日本ダイレクトマーケティング学会の大会が、
やはりマルチチャネルをテーマに開催されたが、
水沼さんはその仕掛け人的存在だ。
水沼さんとは今を去る数年前、サンフランシスコで開催された
米・Direct Marketing Associationの大会にご一緒し、
珍道中を繰り広げた仲で、それ以来、親しくお付き合いいただいている。
そんなこともあって、今回のインタビューも、
電話でお願いした翌日に、弊社にお越しいただくことになり、
充分な準備をする間もなく、バタバタと当日を迎えた。
弊社の椅子に座られるや否や、水沼さんは、
「モバイルを含むインターネット通販(EC)が活況を呈する中で、
“小ロット”“短リードタイム”“新鮮味のある”
ビジネスモデルが求められている」と、勢いよく話を切り出された。
つまり、商品企画→販売のリードタイムが短くなっており、
10ヶ月前から商品企画に着手することが求められる、
紙カタログでは、時代のスピードに追いついていけないというのだ。
通信販売は、総合カタログ型、スペシャルカタログ型、
そして最近元気な単品通販型などに分類されるが、
水沼さんがフォーカスされたのは、総合カタログ型。
中でも情報感度の高い20代の若者をターゲットにする総合通販会社では、
このような問題が重要な課題になっているという。
総合通販会社では、従来からインターネット対応をしていたわけだが、
これまでは、あくまでも紙のカタログに軸足を置き、
そこから商品をピックアップするという方法が主流だった。
これに対し、最もスピーディなモバイルに軸足を置くとなると、
モバイルをパソコンのECと連動しつつ、
その受け皿としてカタログや店舗を位置付けることになる。
このようにビジネスモデルを180度転換しないと、
総合通販会社は時代に取り残されてしまうというのだ。
もちろん、これは20代の若者をターゲットに意識しての話だが、
彼らはある意味、消費のイノベーターであり、
他の年代層に影響を与えるに違いないし、
また彼ら自身もいずれ30代になり、さらなる“新人類”が誕生する。
こうした中で、30代以降の購買保守層をターゲットにするのでなければ、
スピード感のあるビジネスモデルの構築は不可欠というのがその指摘だ。
そして、モバイルのさらなる進化がこれを後押しする。
水沼さんは、今の20代の購買行動は、
“思ったときが買うとき”という刹那的なものになっていると指摘する。
この背景には、オーバーストア現象があり、
さらにこの世代には、たくさんの小売業がそれぞれに情報発信する中で、
友人からの口コミを信頼できる情報源とするなどの特徴がある。
こうした中、通販会社には、カタログに比べて商品サイクルの速い、
店舗MDとモバイルの強化が求められる一方、
店舗小売業は、通販会社が持つ媒体制作ノウハウや
フルフィルメント機能を保有していないことから、
相互の買収や提携が相次ぐだろうというのが水沼さんの見解だ。
このほか、月刊「アイ・エム・プレス」11月号では、
各通販会社のマルチチャネルへの取り組みの現状や課題、
インターネットを軸足としたビジネスモデル構築の基本的な考え方、
スピード感が重視される中でのMDの考え方の変化などについて、
水沼さんのへのインタビュー結果の全貌を紹介する。
発売は10月25日なので、今しばらくお待ちを。