近頃のメディア事情に思う

2007年1月2日

明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
暮れに溜めてしまった新聞に目を通していると、
私にとって気になるのは、なんといっても近頃のメディア事情の話。
月刊「アイ・エム・プレス」の編集という意味ではもちろん、
弊誌そのもののビジネスモデルという意味でも興味は尽きない。
インターネット上には無料のコンテンツが氾濫し、
リアルの世界でも「R25」に代表される無料情報誌が台頭する中で、
コンテンツを有料で買っていただくモデルはどうなっていくのか、
あるいは、インターネット広告に押され気味の
雑誌広告の行方はどうなっていくのか、といったことだ。
時代が急速に変化する中、考えているうちにも次々と新たな事態が発生し、
なかなか“これ”という結論にはたどり着かないが、
以下に最近のメディア事情を巡るいくつかのトレンドを記してみたいと思う。
■ネットにより流通するデジタルコンテンツの開発や、
従来の出版流通には載りにくいロングテール商材のEコマースなど、
コンテンツの製造原価(プレスの費用)や物流費、販売費の低減が実現、
コンテンツの流通革命が進行している。
■一般企業が自社サイトをマーケティングのハブとして位置付け、
ここに集中投資することで、メディア系以外の企業のWebサイトが
大きなパワーを持ち始めている。
■特定テーマのコンテンツを配信するWebサイトやメルマガは増加の一途。
その多くは広告モデルにより運営されている。
リアルの世界でも、広告モデルにより運営される無料情報誌が台頭。
■インターネット上では、ブログやSNSに続き動画の投稿サイトも台頭、
Consumer Generated Media(消費者主導型メディア)が活性化している。
リアルの世界でも、低コストで自費出版を支援する企業が登場。
■コンテンツ(記事・番組など)と広告の境界がボーダレスになってきた。
アフィリエイト・プログラム、プロダクト・プレイスメントなど。
■企業の広告費は既存のマスメディアからネット広告へ、
さらには自社サイトの拡充費用へとシフトしている。
■ネット広告においては、バナー広告全盛の時代が終焉し、
検索連動型広告が躍進する一方、動画広告や
口コミマーケティング支援サービスも注目を浴びている。
以上、大きなトレンドを挙げたが、メディア事情が激変する中で、
いくつかの問題点も浮上している。
ひとつは、ネット上でのやらせや誹謗中傷、これに伴うサイトの炎上など。
インターネット上はリアルな人間社会の縮図だけに、
こうした事態は大なり小なり避けられないところもあるが、
CGMが台頭する中で、私たち1人1人が受け手の立場を考え、
自己責任のもとで、情報を発信していくことが求められよう。
また、コンテンツの著作権問題や、ネット上での広告規制など、
新たな環境に対応する制度・仕組みづくりも急がれている。
最近ではリアルの世界においても、
テレビ番組の資産評価のあり方が問題になっているようだが、
日本においてはそもそもネットが登場する以前から、
コンテンツの価値に関する議論を先送りしてきたのではないか。
この点については書き出すと長くなるので、
もう少し情報を収集した上で、また別の機会に述べてみたい。
インターネットの進展によりメディア事情が激変する中にあって、
弊誌自体の最適なポジショニングを模索し続けると同時に、
こうした時代の変化を独自の視点で切り取り、
読者の皆様の顧客づくりを活性化するヒントをお届けする。
容易なことではないが、その努力を継続する以外に道はないと
改めて肝に銘じる、2007年のお正月なのであった。