昨日は、月刊『アイ・エム・プレス』12月25日発行号の特集
「商品サンプリング大研究」のインタビューのため、
(株)ディージー・アンド・アイベックスのファウンダー/顧問で、
弊誌のコメンテーターでもある辻井良一さんをお訪ねした。
辻井さんは最近、(株)バリューマーケティング研究所を設立、
同社の代表取締役も務めておられる。
昨日ははじめて新オフィスにお伺いしたのだが、
お祝いの胡蝶蘭が所狭しとひしめくスモールオフィスで、
「お茶ぐらい出さないとね」と、やや緊張した面持ちで
自らお茶を入れてくださったのが印象に残った。
辻井さんによると、最近、サンプリングを行う企業が増えているのには、
以下の2つの理由があるという。
■売り場の確保が難しくなっている
■広告が効かなくなっている
つまり、マーケティングの4Pに照らして言えば、
Place(売り場)とPromotion(プロモーション)が
ままならなくなっているというわけだ。
辻井さん的定義では、広告やPRもプロモーションのうち。
そして、商品も情報もあふれた現代においては、
広告によりいきなり刺激を与えるのではなく、
まずはPRにより理解を築くことが欠かせない。
また、1円/人をかけて見られないチラシを作るより、
100円/人をかけてでもしっかりと理解を築く。
すなわち、“薄く、広く”ではなく、
“深く、狭く”の時代になっているというのだ。
そこで、サンプリングが赤丸急上昇。
古くからこれに注力していた化粧品メーカーなどに限らず、
食品や飲料のメーカーが続々とサンプリングを展開。
会員制リゾートクラブや自動車メーカーでも
試用(試乗)キャンペーンを強化しているそうだが、
見込客に“体験させる”という意味ではこれらも同じ文脈にある。
辻井さんは、サンプリングにおける留意点として、
以下の3点を挙げられた。
■いかにターゲットにリーチするか
■コストを惜しまずに、体験(サンプル)+知識(PR誌など)を提供する
■段階ごとの投資対効果を測定する
このほか昨日は、インターネットの影響についても言及。
サンプリングの前段階においては、応募抽選がやりやすくなった。
そして後段階においては、ブログやSNSが登場したことで
口コミの広がりが期待できるようになったということだ。
ただし、インターネットとテレビCMを比較すると、
CPI(サンプル請求当たりのコスト)ではネット<テレビだが、
CPO(結果的な注文当たりのコスト)ではネット>テレビとか。
つまり、インターネットは匿名性が高いことなどから、
軽い気持ちでアクセスするケースが多いのだという。
1時間強に及ぶインタビューの最後にたどり着いたのは、
「サンプリングは高度な情報のかたまり」という一言。
講演を拝聴するたびに、またインタビューをお願いするたびに、
思わず唸らせられる「辻井節」は、今も健在であった。
辻井さんへのインタビューは、月刊『アイ・エム・プレス』
12月25日発行号に掲載される。お楽しみに!
辻井さんにインタビュー
2007年11月21日