今週の水曜日、18日には、月刊『アイ・エム・プレス』主催の
お客さまとの関係づくりを語る会「I.M.press Live!」が開催された。
今回のゲストスピーカーは、昨年の10月号から弊誌に6回連載、
「CRMのネクスト・ステージ 顧客情報の分析と活用」を執筆してくださっている
(株)ソフト・アンド・ロジック代表取締役の水沼 靖さん。
テーマは「不況を乗り切るためのCRMネクストステージ」。
自己紹介に続く最初のパワーポイントでは、
「ネクストステージに必要な5つの疑問に答える」として、
1.自社の優位性顧客は誰か?
2.どのようなニーズを持つ顧客か? 想定できるか?
3.自社の何を欲しているのか?
4.自社はどのような強みがあるのか?
5.強みを提供し続けることが可能か?
の5項目を提示。
これに続いて、過去5年間のビジネスの成長構造に触れた上で、
昨今の市場規模の収縮構造を、ライト・ユーザーの削げ落ち、および、
①上位顧客、②中位顧客、③新規顧客・ライトユーザーそれぞれの
ランク・マネタリーの低下の2点から説明。
CRMの真髄を見せなければいけない時代がやってきたと語られた。
その後、アサヒビールなど、広告費の削減により高利益を達成した
いくつかの大手ナショナル・クライアントの事例を引用した上で、
従来からの広告は商品に関する説明責任を果たしていないという視点を披露。
これに対して、投資対効果が検証できる、小規模から実施できる、
商品の強みを説明できる、顧客ターゲットを設定できる、
顧客の顔が見えるなどの観点から、
ダイレクトマーケティングの優位性を強調された。
続いて、顧客と商品を組み合わせるための分析ステップを、
データベース・マーケティングとデータマイニングのレベルに分けて説明。
データベース・マーケティングでは上位顧客を定義し、識別することはできるが、
上位顧客のロイヤルティを推し量り、ニーズごとにセグメントを行うためには、
データマイニングが不可欠であるとのお考えを披露。
多くの企業におけるマーケティング分析が
データベース・マーケティングのレベルに留まっているとした上で、
実際に顧客をグルーピングしてキャンペーンを展開し、
検証→改善のプロセスをまわし続けることこそがCRMであると主張された。
その後、いくつかの分析事例の紹介を経て、
「マルチチャネル時代・ユビキタス環境では、
独自性のある商品・サービスを的確に具現化すること」が
CRM推進のカギとなるとして、優位性のある顧客をターゲットに、
独自性の高い商品・サービスを開発することの重要性を強調。
また、これを受けて商品情報の重要性にも言及し、
商品データベースにも、バッグならバッグといった分類のみならず、
商品訴求のキーとなる情報を盛り込むことが重要であり、
これを実装しない限り、顧客と商品を紐付けた分析は不可能と結論付けられた。
最後は、月刊『アイ・エム・プレス』3月号の連載にも登場する、
ネクストステージにおけるCRMの領域と組織。
CRMは「誰を顧客にするか」に基づき経営をコントロールすること、
というご自身のお考えに基づき、これまでの販促テクニック型CRM、
商品訴求型CRM、宣伝費予算消化型CRMとは一線を画した、
顧客・商品・チャネル・販促のそれぞれと連携した最適化CRMのコンセプトと、
これを実践する上でのCRMプロジェクトのポジショニングを紹介された。
1時間にわたる水沼さんのお話の後は、
コールセンターでVOCの分析をしておられる方、
Webサイトのログ分析をしておられる方、
水沼さんと同様にマーケティング分析をしておられる方、
総合広告代理店のダイレクトマーケティング部門の方、
店舗小売業や通販会社のマーケティングご担当者など、
約30名の参加者を交えてのディスカッション・タイム。
終了後は、30分ほどの名刺交換会を行い、
2009年初のライブは無事、終了した。
私はいつものように司会・進行を務めたのだが、
会場に気を配りながらも、水沼さんのお話はしっかりキャッチ。
先に紹介した「誰を顧客にするか」に基づき経営をコントロールすること、
という水沼さんのCRMの定義に思いっきり賛同。
自社のマーケティングのことになぞらえて考えると、
まだまだ先が果てしないことを改めて思い知らされた気がした。
本ライブの概要は、3月25日発行の月刊『アイ・エム・プレス』4月号に掲載。
また、水沼さんの連載「不況を乗り切るためのCRMネクストステージ」が
掲載されているバックナンバー(149号~154号)も在庫ありますので、
ご興味のある方は、ぜひこちらからお申し込みください。
あ、それから水沼さんのブログもよろしくお願いします!!
http://ameblo.jp/soft-and-logic/entry-10211684711.html
誰を顧客にするかに基づき、経営をコントロールする
2009年2月21日