下北沢に、「染谷」という美味しい鶏肉専門店がある。
小田急線北口駅前のピーコックの並びで、
弊誌でも取り上げたコーヒー&輸入食品専門店のカルディーの隣だ。
かつてはカルディーの場所には安くて人気の牛・豚肉専門店があり、
さらに染谷と牛・豚肉専門店にはさまれた通路の奥には魚屋があり、
ちょっとした市場のような風情をなしていた。
しかし、まずは突き当たりの魚屋が廃業して携帯電話屋になり、
次に牛・豚肉専門店がBSEの影響か廃業してカルディーになったことで、
辺りの風景は大きく変わってしまった。
生鮮のみならず様々な店の集積になったことに加え、
カルディーが自店をパーテーションで仕切ったため、
ひとつの空間が店ごとに細分化されてしまったのだ。
結果、店の前面に季節商品やバーゲン品を山と積み、
店頭でコーヒーの試飲をさせているカルディーばかりが目立ち、
染谷の店頭にはかつてのような賑わいは見られない。
下北沢の街には、最近、新たなスーパーが開店したので、
その影響も受けているのだろう。
しかし、私は以前から染谷が好きで、週に1回は顔を出している。
専門店だけに、鶏の生肉はもちろん美味しいのだが、
中でもおすすめは、錦鶏の軟骨入りつみれ。
鶏鍋を作るとき、骨付きだと食べるのが面倒だし、
骨があると無いとではスープの出方が違うと迷いがちだが、
これなら軟骨入りなので、スープもばっちり。
また焼鳥などの加工食品も素材が良ければ焼き方もうまいので、
その辺の焼き鳥屋をはるかに上回る味に仕上がっている。
加工食品では、鶏の腿肉や手羽肉を切らずに焼いたものもある。
こちらは塩焼、照り焼きに加えて、エスニック風のものもあり、
そのときの気分に応じて、さまざまな味が楽しめる。
下北沢に限らず、街の商店は大手に押されて年々、姿を消していくが、
染谷のような店には、がんばって生き残って欲しいと思う。
街の商店
2006年2月19日