英語学校のマーケティングを考える

2009年5月2日

連休を待ち構えていたかのように、風邪を引いてしまった。
([[pict:animal4]]インフルエンザではないですよ。)
だから今日はゆっくり寝ていようと思っていたのに、
配送会社の間違い電話で起こされてしまい、[[pict:soppo]]
メールチェックをしながらコーヒーを一杯。
頭はまだぼーっとしたままなのだが、
今日は先日、新たに入学した英語学校の初日。
午後からレベルチェックを受けるので、
このぼーっとした頭を何とかしなくてはと焦っている。
英語学校は半年くらいお休みしていたのだが、
再開に当たり、検討したのはA社とB社の2箇所。
最終的に入学を決めたA社は、私が住むマンションのすぐ上の階に
1年半前にオープンしたブランド力のない小規模な学校で、
オープニング・キャンペーン案内のポスティングでその存在を知った。
同じマンションというだけに、登校時間は1分!
つまりは、スーパーに行くときにエレベーターの中で
先生に会っちゃうかもしれないわけで、[[pict:meromero2]]
これを良しとするか否かは微妙なところだが
これ以外では、大手に比べて料金が10%くらい安く、
かつ契約が1ヵ月単位でいつでも辞められる気軽なところが魅力だ。
一方のB社は、私が半年前まで1年間にわたり通っていた大手で、
通学実績があるだけに様子がわかっているし、
Webサイト上に生徒ごとのマイページが設けられており、
レッスン終了後、先生が評価や注意点をアップしてくれるなど、
フォローがシステム化されているのも魅力だ。
私が希望するプライベートレッスンの料金は比較的割安だが、
他の大手企業と同様に、レッスン単価を下げようと思うと、
長期にわたる契約を余儀なくされてしまう。
先生は玉石混交だが、これはどの学校でも同じこと。
玉石混交というのは英語指導のスキルの高低というよりも、
プライベートレッスンだけに性格的な相性や話題の共通性もあると思うのだが、
B社には何人かお気に入りの先生もいた。
なんだかんだと時間のない私の検討期間は約1週間。
A社は初めてだけに、先日の休みに無料体験レッスンを受講。
B社はメールで2回ほどキャンペーン料金の問い合わせをしただけ。
結果、短期間とは言えさんざん迷った挙句、A社を選択した。
私はいわばB社の休眠顧客だったわけだが、なぜ、ブランド力の低い、
かつ、関係性の薄いA社にブランドスイッチしたのかを振り返ってみると、
そこには先生の存在がいかに大きいかを痛感させられる。
前述の通りB社には、お気に入りの先生が何人かいたわけだが、
彼らはまだB社で教えているのかと、今もなお存在するマイページを確認すると、
そこからは先生の顔ぶれが確認できないようになっていた。
在学中は、「レッスンの予約・変更」画面で
日時とあわせて希望の先生を選択できる仕組みになっており、
それぞれの先生の写真やプロフィールはもちろん、動画まで確認できたのだが、
休眠中だけにこの予約・変更画面にアクセスできず、
現在、登録されている先生の顔ぶれがまったく見えなかったのだ。
えーっ、これじゃお気に入りの先生がいるかどうかわからないとがっかり。
加えて、問い合わせのメールへの返信に当たっても、
担当者がコロコロ変わる割には個人名を前面に打ち出した文面に違和感を覚えた。
一方のA社は、たった1回の無料体験レッスンしか受けていないわけで、
つまりは、たった1人の先生しか知らないのだが、
それが私にとっては話題の共通性が多く、なかなか魅力的な1人だった。
Webサイトやパンフレットに誤解を招くような表現があったり、
電話対応にも同様の問題があったり、ちょっと不安な点も否めないのだが、
そうした不安要素に目をつぶってA社を選択した理由は、
料金が安いこと以上に、その先生の魅力にあったのではないかと思う。
短期契約のため、実際に通ってみて、やっぱり気に入らなければ、
いつでも辞められるという気軽さも決断を後押しした。
逆に言えば、これからA社が私を休眠化させないためには、
いかに私にとって魅力的な先生を起用し続けるかが重要だといえよう。
私はこの経験を通して、英語学校のマーケティングについて、
いろいろと考えさせられることになった。
まず、場所とか、カリキュラムとか、契約期間とか、料金とか、
営業時間とか、1レッスン当たりの時間といったいわゆるスペックは、
選択肢が多いほど多くの見込客のニーズに合致するのは当然のこと。
しかし、英語学校の選択に当たっては、これらのスペック以外に、
ブランド力も大きくモノをいう。NOVAの倒産から1年以上が過ぎたが、
その後も不景気の中で倒産する英語学校は後を絶たないからだ。
こうした中、ブランド力のない英語学校が新規顧客の獲得を加速する上では、
無料体験レッスンやWeb上でのクーポン配布といった常套手段に限らず、
リーズナブル・プライスの短期契約システムを導入することで、
登録への心理的なハードルを下げることが重要ではないだろうか。
もうひとつ、ブランド力の高低にかかわらず英語学校共通の課題といえる、
無料体験レッスンから契約にいたる転換率、
あるいは一定の契約期間が終了した後の継続契約率の向上には、
先生の魅力が大きくモノをいう。
そして顧客にとっての先生の魅力とは、英語指導の技術のみならず、
生徒との性格的な相性や話題の共通性も大きな要素となる。
つまり、実際にレッスンを受講することにより培われる
英語学校と生徒の関係性は、先生と生徒の関係性とも言い換えられる。
したがって、英語学校が既存顧客を維持するためには、
英語指導の技術に優れた先生を確保するのみならず、
人気のある先生をいかに継続雇用できるかが重要だといえるだろう。
そのためには、まずは先生の指名制を導入するとか、
個々の先生のレッスンへの満足度調査を実施するとかが必要なのはいうまでもない。