織田浩一/渡辺春樹さんのセミナーを受講

2006年11月2日

昨日は、日経BP社主催の「NET Marketing Forum 2006」に行ってきた。
私が受講したのは、計19コマのセミナーのうち、
「テレビCM崩壊 マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0」で知られる
米Digital Media Strategies,LLC代表の織田浩一さんの特別講演と、
弊社が発行する月刊「アイ・エム・プレス」
の取材でも何度かお世話になったことのある、
Honda 宣伝販促部ホームページ企画ブロック/ブロックリーダーの
渡辺春樹さんの専門トラックでのご講演。
織田さんのご講演のテーマは「マーケティングは対話になった」。
冒頭ではマーケティングの歴史を振り返り、
産業革命以前の販売員が自らの知恵を働かせてアナログで
データベース・マーケティングを行っていた時代から、
マスマーケティングの時代、ライフスタイル別マーケティングの時代を経て、
インターネットが商用化され、メディアとして、
あるいはコンテンツの配信手法として重用されるようになったと説明。
昨今のCGMブームを「消費者はメディアになった」と換言して、
ご講演のテーマでもあるマーケティング=対話に結び付けられた。
続いて、昨今の広告の変化にも言及。
テレビにおける“広告飛ばし”などを引き合いに出しつつ、
デモグラフィックなターゲティングによる従来のマス広告を
“Instrusibe”(押し付けがましい)であると指摘。
消費者に受け入れられるのは“Relevant”(関係のある)な広告であるとして、
そのポイントとして、①ターゲティングの精度アップ、②口コミの効果的活用、
③エンターテインメント性の高いコンテンツの3点を挙げられた。
後半では、これらの3つのポイントを中心に、いくつかの事例をご紹介。
最後に全体を振り返った上で、対話となったマーケティングは、
企業やマーケティングの危機ではない。
対話を避けて消費者の意見を気にかけない企業の
マーケティングの危機であると講演を締めくくられた。
織田さんの講演を聞いて思い出したのは、
何年か前に聞いたレスター・ワンダーマンの講演。
昨日の講演と同様に、産業革命以前に遡ってマーケティングの歴史を紐解き、
技術革新が古き良き時代の双方向マーケティングを復活させたという文脈で、
ダイレクトマーケティングへと話しを繋げておられたのだが、
織田さんのご講演では、ダイレクトマーケティングには
まったく言及されていなかったのが、
ダイレクトマーケティング通の私にはちょっと残念だった。
一方、Hondaの渡辺さんのご講演のテーマは、
「マスメディアの精密効果測定も実現したHondaの2010年ネット戦略」。
タイトルにそそられて参加したのだが、
今やネットはクルマ購入期のNO.1メディアに成長を遂げており、
Hondaではこれをメガメディア時代の「ハブ」として位置づけ、
TVCMはもちろん、プロダクト・プレイスメントの効果に至るまでを
自社サイトへのアクセスログを指標に測定されているとのことであった。
また、メディア系サイトのアクセス数が
自社サイトの3~5倍に過ぎないというデータに基づき、
「強力な自社サイトはマスメディアとなる」と力説されていたのも印象的。
Web2.0が時代のキーワードとして注目されているが、
考えても見れば、そもそもインターネットが商用化され、
企業が自社サイト構築に乗り出した時点で、
メディア系か否かを問わず、企業のBGM(Business Generated Media)には、
大きなポテンシャルが秘められていたに違いない。
弊誌のような専門誌も含め、メディア系企業は、
こうした事態を踏まえて、自らのあり方を真摯に問い直さねばなるまい。