昨日、弊社の「鈴木さん」と、お昼を食べに行った帰り道のこと、
耳なれた移動販売の口上(?)が聞こえてきた。
ホットドッグとアイスクリームの移動販売、大学堂のそれだ。
この大学堂は、もう何年も前から、
毎週、金曜日になると、弊社がある本郷2丁目界隈にやってきて、
口上のようなテーマソングを大音量で流しながら、
地域の住民やオフィスで働く人々に
ホットドッグとアイスクリームを販売しているのだ。
私はこれまでに、この移動販売車を何度となく目にしてきたが、
はっきり言って、お客さんの姿はまばら。
同じ地域を長年、巡回しているにもかかわらず、
それを楽しみにしている固定客らしき姿も見かけたことがない。
昨日もその点においては、例外ではなかったのだが、
テーマソングをそれとなく聞きながら、鈴木さんと一緒に
その横を通り過ぎようとした時、びっくりするようなことが起こった。
「前を歩く経理の鈴木さん♪」という歌詞が流れてきたのだ。
「日本苗字分布図鑑」によると、
日本の苗字で一番多いのは「佐藤さん」で44万9,321世帯、
2位が「鈴木さん」で39万8,316世帯、3位が「高橋さん」で33万0,349世帯とのこと。
大学堂では恐らく、こうしたポピュラーな苗字をテーマソングに盛り込むことで、
(佐藤さんと鈴木さんと高橋さんには失礼だが)“犬も歩けば棒にあたる”式の
擬似パーソナリゼーションを実践、集客力のアップを狙っているのだろう。
「そこ行く経理の鈴木さん♪」という歌詞を耳にした瞬間、
鈴木さんと私は、その場で立ち止まり、思わず顔を見合わせた。
しかし、お昼を食べた直後だけに、ホットドッグに惹かれることもなければ、
この寒空の下でアイスクリームを食べることもなく、その場を通り過ぎた。
大学堂のWebサイトを見ると、同社は1966年創業、
現在の社長はそもそも歌手を目指していたとのことで、
ホットドッグとアイスクリームもさることながら、
このテーマソングも社長自らの手によるオリジナル作品だ。
サイトでは、このテーマソングを聞くことができるだけでなく、
着メロとしてダウンロードすることもできる。
ちなみに、「経理の鈴木さん♪」の歌詞が登場するのは、
大学堂のテーマPART:Ⅱ(販売車バージョン)で、
そこには1位の「佐藤さん」と3位の「高橋さん」はなぜか登場しない。
私だったら、1番は「総務の佐藤さん」「2番は経理の鈴木さん」、
そして3番は「営業の高橋さん」とかにするが、どんなものだろうか???
移動販売における擬似パーソナリゼーション
2010年1月16日