一昨日、昨日と、ダイレクトマーケティングの勉強会、
ダイレクトマーケティング・ワークショップ(DMW)の全国合同研修会に行ってきた。
この勉強会は二十数年前の米国流通視察がきっかけで誕生したもの。
東京を皮切りに、大阪、名古屋、九州の4箇所に同名の団体が発足しており、
年に1回、全国のメンバーが集まって、合同研修会を実施しているのだ。
今年はDMW九州が幹事役なので、会場は博多。
全国から約60名ほどの会員が参加した。
今年の全国合同研修会のテーマは「感動」。
初日には、「お客様を感動させる演出とは」をテーマに、
テレビのプロデューサーである王 東順さんにご講演をいただいた。
王さんは、「なるほどザ・ワールド」など数々の高視聴率番組を
手がけたことで知られる名プロデューサー。
一昨日のご講演では、90分×2本=180分に及び、
自ら手がけた高視聴率番組を引き合いに出しながら、
演出のコツについて具体的にお話いただいた。
ご講演の中で出てきた演出を巡るキーワードは、
「引用」「応用」「逆発想」「これまでにない」「既成概念(を破る)」
「リアリティ」「差別化」「時間(場所)差攻撃」等々。
また、中でも、番組の冒頭部分でいかに視聴者を釘付けにするかといった
掴みの演出がいかに重要かを、テレビ番組はもちろん、
映画や音楽からディズニーランドのアトラクションに至るまで、
さまざまなエンターテインメントの例を示しながらご紹介いただいた。
一例を挙げれば、通常の楽曲はA→B→C(サビ)→Aで構成されるところ、
小室哲也の楽曲がいきなりサビに始まるのは、
この「掴み」を意識しているからではないかといった具合。
加えて、サビ部分がが15~30秒で構成されているのは、
CMに使われることを意識しているのだろうとのことであった。
王さんは、これらの掴みはもちろん、番組の構成を考えることや、
品質に至るまでを演出と定義されている。
(品質→8時間にも及ぶ撮影の中からベストの30秒を起用するなどを例示)
そして、これらの演出こそが視聴者の感動を呼び起こし、
それが視聴率という結果に繋がるのだと言われた。
民放は広告モデルであり、視聴者がお金を払うことはないが、
王さんは、この演出の重要性は、どんなビジネスにも共通する要素だと指摘。
そして効果的な演出を行うためには、
情報をいかに早く掴んで、行動に移すかが重要とのことであった。
このことは逆に言えば、王さんは、その才能に甘んじることなく、
「情報をいかに早く掴んで、行動に移すか」を実践され続けてきたからこそ、
高視聴率番組を次々と世に送り出すことができたということだろう。
今回は、ダイレクトマーケティングそのものがテーマの話ではなかったが、
雑誌を発行する身として、演出の範囲や重要性について考えさせられた。
また、「情報をいかに早く掴んで、行動に移すか」は、
組織としての体制の整備やモチベーション向上施策もさることながら、
最終的には組織を構成する1人1人の肩にかかっているところが大きい。
弊誌のスタッフにも、こうした意識を持ち続けることにより、
マッチベターな誌面づくり、顧客サービス、広告提案、販促企画を
常に身体を張って、開発し続けていって欲しいと思った。
これは会社のためだけではなく、1人1人のためでもあり、
そして何よりも仕事を面白くする秘訣にほかならないのである。
王東順さんの講演
2006年10月9日