日本通信教育連盟

2005年10月29日

昨日は、日本ダイレクトマーケティング学会 
データベースマーケティング研究部会の会合に参加してきた。
テーマは、「当社におけるダイレクトマーケティングビジネス」とは。
講師は、㈱日本通信教育連盟 業務本部 理事 本部長の杉村俊彦氏。
(同社はU-CANのブランド名で広告展開)
まず最初に、同社の事業内容を軽く説明された上で、
データベースシステム導入の変遷として、
1983年に始まる初期導入時期、1994年からの個別最適化時期、
そして2004年からの全体最適化時期への経過を紹介。
次に、フルフィルメントシステム、データベースシステム、
マーケティングシステムの3つからなる基本システム構成に加えて、
ダイレクトマーケティングを成功に導くコード体系の紹介。
コード体系のところでは、顧客の名寄せのキーとして使用する、
マッチコードを使用しているのが特徴とのことであった。
続く、ダイレクトマーケティング事業を成功させる組織では、
米国で言うところの「プロモーションリエゾン」にあたる、
マーケティングサービスの重要性を指摘。
その後、リスト戦略の話しに入り、下から順に、
OCS→見込み客・一般顧客→良顧客→優顧客→VIPの
5段階で構成されるピラミッドを説明。
ちなみにOCSとは、Output Credit Screeningの略で、
DMを送らない顧客のこと。当然、顧客の削除も行っておられるが、
弊社においても当初、削除のことを考えずにデータベースを設計、
後から機能を追加したことを思い出した。
また、既存顧客へのDMは、自部門、他部門、リグレッションの
3つに分割して抽出し、効率アップに力を入れている。
自部門とは、自部門の顧客に自部門の商品を訴求すること、
他部門とは、他部門の顧客に自部門の商品を訴求すること、
3つ目のリグレッションとは、部門を越えた顧客分析により
最適と思われる対象顧客をデータベースより抽出すること。
現状の反応率は自部門が最も高く、2%をちょっと下回る程度。
他部門とリグレッションは、1%を切るところで拮抗している。
杉村氏によると、現状では依然としてRFM分析が最も効率が良いとのこと。
これは多くの通販会社に共通する傾向だ。
次に、商品戦略として、通教と物品通販の売上構成比の推移に言及、
現在は物品>通教となっている旨の紹介の後、
具体的なクリエイティブを提示しつつ、メディア戦略に言及。
メディア戦略におけるポイントとしては、
通信教育の場合は、マス媒体で直接、注文をとるのではなく、
資料請求(3つまで可能)を訴求する2ステップ方式を採用していること、
自社媒体については、複数商品を掲載したカタログは使用せず、
あくまでも単品にフォーカスしたパーソナルレターつきの
DMを使用していること、などが挙げられた。
また、サンプルとして使われたレターには、以下のような工夫があった。
①お客様の名前を複数箇所に印字。
②「以前、資料をご請求いただいた」というアプローチで
お客様と同社の関係性を明示。
③購入に当たっての3つのオファーを「安心ご購入保証」として明記。
④キャンペーン有効期間を明記することで早期の申し込みを促進。
その後、商品テスト、オファーテスト、コピーテスト、リストテスト、
タイミングテストの、5つのテストマーケティングの説明を経て、
名寄せによる顧客データ一元化について言及。
前述のマッチコードを駆使した名寄せロジックをシステム化、
顧客データの一元化を実現している旨が紹介された。
具体的には、氏名・住所によりマッチコードを作成し、
これに電話番号を加えて名寄せを行う仕組みで、
最終的には指示待ちのデータを専門家が同一人か別人か識別するのだが、
この最終名寄せ結果で同一人と判断されるものが44%、
年間約4万件を数えているという。
ちなみに、同社の顧客データベースには1,300万人が登録されており、
この名寄せシステムの導入により、大幅なコスト削減が図れたという。
これに続き、ICS(Input Credit Screening)、
OCS(Output Credit Screening)による経費削減効果に言及。
前者は、リスト・オーダーの注文を受けない、
後者は、DMを送らないというもので、
ここでチェックされる情報は、ブラック情報、取引情報、
支払情報、請求中止情報、DM中止局戻り情報、
フリークエントリジェクタ、与信限度額超過などとなっている。
そして最後に、今後の展望として、
アウトソーシング運用費用の大幅な改善、
全体最適化されたオープン系環境による柔軟なシステム対応、
顧客データを生かすデータウェアハウスの磨き上げと活用を挙げられた。
終了後は、いつものように、講師を囲んで飲み会を開催。
現在、こうした会合は2ヶ月に1回の開催だが、
ご興味のある方は、会員になられてはいかが?