新規出店に当たってのSNS活用

2005年11月5日

私が入会しているSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には、
地域をテーマにしたコミュニティがいくつかある。
ご多分に漏れず、私も地元のコミュニティに登録しているのだが、
最近そのコミュニティは、建設中のスーパーOの話題で盛り上がっている。
私が住む街には、すでに2つの大手スーパーがある。
ひとつは全国チェーン、もうひとつはやや高級なスーパーで、
前者は価格は安いものの魅力に欠けるし、
後者もかつてはこの街のランドマーク的存在だったものの、
今は売り場を縮小し、商品もサービスもいまひとつ振るわない。
そんな中、マーケターの間でも名高いスーパーOの開店を、
私は心待ちにしている。
今から1~2週間前のこと。
このコミュニティに、スーパーOのトピックスが立った。
(このSNSでは、コミュニティ会員が興味のある話題を
トピックスとして立て、会員同士の情報交換を行うことができる)
トピックスを立てたのはこのコミュニティの管理人で、
そこにはスーパーOの建設現場の写真が貼り付けられていた。
その後、何人かの会員がこのトピックスにコメント。
そのうちのひとりは私だが、皆が口々に、スーパーOへの
期待や不安を書き込んでいく。
昨晩、会社の帰りに建設現場の前を通りがかると、
外壁を塗り終えたばかりの建物についに真っ赤な看板が付けられ、
それが暗闇の中で異彩を放っていた。
おまけに、淡いピンク色の外壁にも赤い帯状のペンキが塗られ、
商品やサービスは期待できても、街の概観を壊すのではないかと、
私は少なからず心配になってきた。
私がそのことをこのコミュニティに書き込んだのは言うまでもないが、
コメントをアップしながらふと思ったことがある。
「スーパーOの人は、このコミュニティに入っていないのか?」
このSNSは会費無料のサービスであり(広告収入有り)、
ビジネスでの利用は原則ご法度ではあるが、
商品・サービスを直接販売するのはともかく、
マーケティング的に活用している例は少なくない。
ならば小売・サービス業は、新規出店エリアのコミュニティに参加し、
まだ見ぬ地域住民(=見込み客)の声をダイレクトに聞きながら、
開店準備を進めていってはどうか。
もちろん、開店準備は、何年も前から進められており、
地域住民の声で変更できることは限られている。
また、顔の見えないインターネットのことだけに、
出店に真っ向から反対の住民や、競合の嫌がらせもあるかもしれない。
しかし、それはそれで地域住民の声には違いないし、
日々の工事の進行にあわせてリアルタイムに情報が得られるのは、
地域のコミュニティを豊富に抱えるSNSならではのメリットだ。
また、毎日、少しずつ情報を開示していけば、
開店に先駆けて見込み客のロイヤルティを高めることもできるだろう。
小売・サービス業の皆様、新規出店にあたって、
こんなSNSのビジネス活用はいかが?