変化するテレビ放送

2006年1月22日

昨晩、確かフジテレビの「めちゃ×2イケてる!」を見ていたら、
これって番組? それとも広告? というシーンに出くわした。
複数のお笑いの芸人たちが男女を問わず振袖姿で出演、
代わる代わるにお互いを槍玉に挙げたトークを展開していたのだが、
そのうちのお世辞にもハンサムとは言えない1人が、
ナイキなどのブランド品を愛用?していることについて非難が集中し、
彼はメーカーに侘びを入れるべきだということで総意が一致した。
これを受けて、指摘を受けたお笑い芸人は、
“自分のような見栄えのしない者が愛用してゴメンナサイ!”などと、
各ブランドに公共の電波を使って謝罪したのだが、
その謝罪シーンで、お笑い芸人達の様子を写した画面の中央に、
各ブランドのロゴが大写しになったのだ。
それ以前に、そのお笑い芸人が、それぞれのブランドの製品を
愛用しているイン・ユースのシーンを見せたのは言うまでもない。
ドラマなどでのプロダクト・プレイスメントの話は時々耳にするが、
それは例えば、ビールを飲むシーンで、
どのブランドを使うかという程度のことだと思っていた。
もちろん、ドラマの中でブランド名が連呼されることはないし、
ブランドのロゴが画面に大写しになることもない。
ドラマのストーリーの中に、自然に溶け込んでいる感じだ。
しかし、昨晩のお笑い番組の場合はどうだろう?
お世辞にも(モデルのように)ハンサムとは言えないにしても、
各ブランドを使用している画像が映し出され、
ブランド名を複数のお笑い芸人が連呼し、
そして、各ブランドのロゴが画面に大写しになる。
視聴者の一部にとっては頭に“逆”が付いたとしても、
これはかなり宣伝に近いのではないか?
私は日ごろ、あまりテレビを見ないので、
もしかしたら最近では、こんな例は五万とあるのかもしれないが、
もし昨晩のケースも意図的なプロダクト・プレイスメントだとしたら、
番組の構成やシナリオ作りには、かなりの神経を使うだろう。
視聴率を確保することと、ブランドの宣伝の双方に気を配りながら、
全体に自然な流れを演出しないとならないのだから・・・。
それともこれは、アドリブの延長線上にある偶然の産物? 
だとしたら、そのブランドのメーカーはどう思うのだろうか?
自社のブランドを放送に露出してくれたことを素直に感謝するのか、
それともブランド・イメージを阻害するとクレームを申し立てるのか?
私が○年前に新卒で前職の市場調査会社に就職した時、
真っ先にやらされたのは、全国のテレビ局に電話をして、
番組内のテレビショッピングについて取材すること。
取材項目は、番組内の何分をこれに充て、何点の商品を紹介するのか、
紹介商品はどんなもので、価格表示はどのようにしているか等々だった。
当時は、生活情報番組の中で、視聴者の生活支援を主旨に
商品の販売を行っていたが、それからウン十年を経て、
今やテレビショッピング番組はもはや当たり前。
また前述のようなプロダクト・プレイスメントも加速していると聞く。
折りしも今朝の日経のトップ記事は、
「サーバー型放送 2007年度に 好みの番組、自宅から『注文』」。
NHKが視聴者から番組ごとに料金を徴収する有料放送を計画する一方、
民放は広告付きの無料放送と広告の付かない有料放送の
双方を検討していると報じている。
コンテンツ提供のビジネスモデルもさることながら、
ますます加速するであろう通信と放送の融合、
そして視聴者との双方向性確保へのアプローチなど、
近頃のテレビの実態は、テレビ局出身者に聞いても、
よくわからないことだらけ。時代に取り残されぬよう、
とにかく勉強しないと・・・と痛感するばかりだ。