南アフリカお土産話③ 商業集積地に欠かせないPick n PayとWoolworths

2017年12月28日
前回公開した、南アフリカお土産話第二弾では、「ワイナリー探訪記――生産者のこだわりを知り、製造工程を確かめ、自分の舌で味わう」と題して、ケープタウン周辺のワイナリーを中心とした地域産品の工場見学の様子をお伝えしましたが、第三弾となる本稿では、同じくケープタウンにおける小売業として、大手スーパー2社の様子をご紹介しましょう。

私が実際に足を運んだスーパーは、Pick n PayWoolworthsなのですが、各社はケープタウン周辺の多くの商業集積地に出店しており、ショッピングセンターなどではこれらが揃って出店していることが多いとのことでした。私が訪れた数店舗の品揃えはいずれも食品&家庭雑貨が主体でしたが、Pick n Payが洗剤など家庭雑貨の品揃えに優れていれば、Woolworthsは地産地消やオーガニックをキーワードに食品の品揃えを強化しているといった特徴があり、買い物客はその時々の目的に応じ、双方を使い分けているようでした。

Pick n Payの店舗外観
Pick n Payの店舗外観
Pick n Pay店頭における洗剤の品揃え。小型店でも、洗剤の品揃えは豊富。洗剤容器のカラフルな色使いは、識字率の低い同国において、文字の読めない買い物客でも“いつもの商品”が識別できるように配慮した結果だ
Pick n Pay店頭における洗剤の品揃え。小型店でも、洗剤の品揃えは豊富。洗剤容器のカラフルな色使いは、識字率の低い同国において、文字の読めない買い物客でも“いつもの商品”が識別できるように配慮した結果だ
Woolworthsの店舗外観
Woolworthsの店舗外観
Woolworthsの“地産地消”を旗印にした野菜売り場。店内は米国のWHOLE FOODSを彷彿とさせるようなおしゃれな雰囲気だった
Woolworthsの“地産地消”を旗印にした野菜売り場。店内は米国のWHOLE FOODSを彷彿とさせるようなおしゃれな雰囲気だった
マーケティング・コミュニケーションに目を向けると、Pick n Payでは折しもインストア・プロモーション「South African Super Animals」を展開していました。これは購入金額R 150ごとに4枚配布されるスーパー・アニマル・カードをカテゴリーごとにコレクションすることで、報償がプレゼントされるという仕組み。カードをスキャンしてコレクションできる専用のスマホアプリを用意する傍らで、カードの収納ボックスや絵本状のアルバムを店頭販売するなど、スマホを持っていなくても楽しめるような工夫が施されていました。

「South African Super Animals」の装飾が施されたPick n Pay店内
「South African Super Animals」の装飾が施されたPick n Pay店内
レジ前では、絵本のようなアルバムや、カードの収納ボックスといったプロモーション関連グッズが販売されていた
レジ前では、絵本のようなアルバムや、カードの収納ボックスといったプロモーション関連グッズが販売されていた
一方、Woolworthsでは、「WREWARDS CARD」をベースとしたロイヤルティ・プログラムを展開、会員を対象に、eメールなどによる優先的な情報提供のほか、専用シールが貼られた商品の10%割引、自社カード利用金額の5%割引といった金額面での特典を展開していました。会員はVALUED、LOYAL、VIPの3ランクに分かれており、年間購入金額や、同店が注力しているエコ商品の購入実績などにより上位ランクに昇格、特典が上乗せされる仕組みになっています。

このほか、Woolworthsでは社会的課題の解決に注力しており、「WREWARDS CARD」にも、会員自らが選択した学校や地域に購入金額の1%以内が寄付される仕組みの「MYSCHOOL MYVILLAGE MYPLANET」が設けられていました。

「WREWARDS CARD」店頭に掲示された「MYSCHOOL MYVILLAGE MYPLANET」の案内
「WREWARDS CARD」店頭に掲示された「MYSCHOOL MYVILLAGE MYPLANET」の案内
ちなみに、これらの2社はいずれも食品・雑貨などのECにも参入済み。南アでは多くの開発途上国同様、物流面の課題を抱えており、通信販売の発展に遅れを取っていましたが、近年ではスマホの普及と足並みを揃えてECが急成長を遂げています。中でも、こうした店舗小売業からの参入による取扱商品領域の拡大は、2017年におけるEC成長の1つの大きな要因と言われているようです。