2017年9月1日
遅ればせながらスタートした南アフリカお土産話。過日公開した第一弾では、
「それは準備段階から“Oh my God!”の連続だった」 として、いわば出発に先駆けての“準備編”をお届けしましたが、第二弾となる本稿では、今回の旅行で最も長く滞在したケープタウン周辺のワイナリーを中心に、地域産品の工場見学の様子をお届けします。
ケープタウン周辺は、果物や農産物の一大産地であると同時に、ワインの生産地としても知られています。今回の旅行中、私もいくつかのワイナリーを見学しましたが、そこではワインの製造工程が見学できるのみならず、主力ワインの試飲コーナー、気に入ったワインをその場で即買いできるショップ、さらにはワインと共に食事が楽しめるレストランなどが設けられていました。今回は私が訪れた中でも、特に印象に残った3つをご紹介しましょう。
最初にご紹介したいのは、ケープタウンからほど近いCONSTANTIAにある
「GROOT CONSTANTIA」 です。ここは330年の歴史を持つ南アにおける第一号のワイナリーであり、多くの観光客が訪れる人気のスポット。お昼時にやって来た私たちは、まずは敷地内にあるレストランの1つである
「JONKERSHUIS」 でケープ・マレー料理に舌鼓を打った後、敷地内に点在する博物館をはじめとする歴史的な施設や、ワイン工場、試飲コーナーなどを見学しました。
ちなみにケープ・マレー料理は、17世紀にオランダの入植者と共にコックとしてやって来たイスラム系住民の料理が始まりで、今日では各地の食材と融合して発展を遂げ、南アフリカ料理として知られるようになったとのこと。私が南アで食べたものの中でも5本の指に入る美味しさだったのですが、日本でこれを味わうには、ネット上に公開されているレシピを参考に、自分で調理するしかなさそうです。
どこまでも続く葡萄畑。日本では大人の手が届く高さの地面に水平な葡萄棚を多く見かけるが、南アで見た葡萄棚の多くは垂直で、葡萄のツルを天にむけて這わせる格好になっていた
330年の歴史を持つ「GROOT CONSTANTIA」。広大な葡萄畑に取り囲まれた歴史的な建築物は、此の地におけるワイン造りの歴史を物語っているかのようだった
ケープ・マレー料理を堪能。手前左が炒めた挽肉などに卵を加えてオーブンで焼き上げたBOBOTIE、右がターメリック・ライスにシナモン風味のベイクド・バターナッツ南瓜を付け合わせたもの、真ん中にあるのがPOPPADOMSと呼ばれるクラッカーの一種。テーブル中央に置かれているのは、サルサ、チャツネなどの副菜類
次にご紹介したいのは、ケープタウン郊外のDURBANVILLEにある
「MEERENDAL」 です。こちらは葡萄畑やワイン工場、ワインの試飲コーナーに加え、ジンやウォッカなどの工場、レストラン、さらにはホテルまでもが設けられたワイナリーで、その広大な敷地を世界各地で毎週末に開催されている5㎞の無料ウォーキング&ランニング・イベント
「parkrun」 の会場として提供していることでも知られています。
私もゲストとして参加したのですが、写真のような美しい景色を眺めながらの走行はまさに至福の体験。会員にはバーコードが発行され、イベント参加時にこれをスキャンすることで、個人ごとはもちろん、会場ごと、国ごとの走行距離やタイムなどがチェックできるようになっています。ただし、終了後、ワインやジン、ウォッカの試飲にうつつを抜かしていると、せっかく消費した分を上回るカロリーを摂取してしまうので要注意。
「MEERENDAL」では、その広大な敷地の一部を、ランニング&ウォーキング・イベント「parkrun」の会場に提供している
ワインというと木製の樽をイメージするが、それは赤ワインのこと。白ワインは金属の樽で寝かされるそうだ
「MEERENDAL」のワインの試飲コーナー。料金は種類にもよるが、ワイン4種類にテイスティング用のグラス込みでR 30(約255円)程度とリーズナブル
最後にご紹介したいのが、ケープタウン郊外のFRANSCHHOEK近辺にある
「BABYLONSTOREN」 という施設です。ここはワイナリーというよりも、歴史的なCape Dutch Farmの1つで、広大な敷地内には、フルーツや野菜の農園、レストラン、SPA、宿泊施設のほか、畜産加工品やチーズ、パンといった食品やワイン、さらには同園が提案するアパレルやインテリアに至るまでのショップが設けられています。
「BABYLONSTOREN」は、季節ごとのフルーツの生育状況を眺めながらの散歩が楽しめる農園や、商品カテゴリーごとのショップなど、ビジター目線での施設のラインナップはピカイチ。各々の設計が優れていれば、手入れも行き届いており、丸一日をかけてゆったりと過ごしたいぐらい。私が訪れたのがたまたまケープタウンを離れる前日とあって、ここで購入したパンや干し肉、ハムなどは、同地での最後の晩餐を彩ることになりました。
「BABYLONSTOREN」では、オレンジ、レモン、ブルーベリー、パッションフルーツ、オリーブなど、季節ごとの果実がビジターを楽しませてくれる
「BABYLONSTOREN」では、ビーフやオーストリッチなどの干し肉も製造・販売。ビーフジャーキーに比べるとやや柔らか目のこの干し肉は、現地では「SUSHI」の愛称で親しまれているとのことだが、日本からやって来た私には、いったいどこが寿司なんだか、まったくもってわからなかった
「BABYLONSTOREN」で購入したパンや畜肉加工製品は、ケープタウンでの最後の晩餐を彩ることになった
以上、3カ所をご紹介しましたが、こうしたビジター向けの設備を備えているのは、何もワイナリーだけではありません。私自身、ケープタウン近郊のPAARLに足を伸ばした時には、ワイナリーに加えて地ビールやチョコレートの工場を徒歩で巡れる
「SPICE ROUTE DESTINATION」 や、山羊の牧場が併設されたワイン&チーズ製造工場
「FAIRVIEW GOATS FARM」 、アルパカ牧場に併設されたカフェでアルパカ製品を製造・販売する「
ALPACA LOOM 」を見学しました。
南アの広大な自然の中で、生産者のこだわりを知り、製造工程を確かめ、自分の舌で味わってみる。こうした五感を通しての地域産品とのふれあいは、まさに最高のカスタマー・エクスペリエンスにほかなりません。製品が気に入れば、ショップで購入することもできますが、多くの生産者はECも展開しています。ケープタウンが南ア随一の観光地であり、かつ、南ア第二の経済規模を持つ都市であり続けている背景には、こうした生産者たちの努力が横たわっているのではないでしょうか。
地ビールのメーカーである「CAPE BREWING CO」では、4種類の地ビールの試飲がR 30(約255円)。グラスは小さめながら、アルコール度数が強いのか、結構酔っ払う。
チョコレート製造会社の「DE VILLIERS CHOCOLATE」では、R 25(約213円)でチョコレートの試食ができるほか、トリュフ作りのWorkshopに参加することもできる
「FAIRVIEW GOATS FARM」では、自社製品の山羊のチーズをワインと一緒にテイスティングできる。チーズのみの試食はR 20(約170円)、ワインとチーズのセットでの試食はR 40(約340円)程度
「ALPACA LOOM」では、アルパカに餌をやることもできる。そのモフモフぶりは半端ないが、うっかりするとツバを吐きかけられるので注意が必要だ
「ALPACA LOOM」のカフェ内でマフラーのようなものを織る女性の職人。機を織る彼女の存在そのものが1つの作品のように感じられる