千葉ロッテのCRM戦略

2008年10月17日

一昨日は、このブログでも何度か紹介したダイレクトマーケティングの勉強会、
ダイレクトマーケティング・ワークショップの10月の会合が開催された。
今回の講師は(株)千葉ロッテマリーンズ 事業本部 
事業企画部 室長の原田卓也さん。テーマは、
「スポーツビジネスにおける『新』集客戦略~スポーツCRMの活用事例~」。
原田さんには、何年か前に月刊『アイ・エム・プレス』
ビジネスセミナーでもご講演いただいたことがあるので、
私自身がお話をお伺いするのは2回目であった。
お話の構成は、まずスポーツビジネスにおける「新」集客戦略として、
同ビジネスの特殊性や球団ごとのビジネスモデルや経営戦略の違い、
千葉ロッテの戦略とCRM戦略について言及。
これに続いてスポーツビジネスとインハウスメディアとして、
千葉ロッテのインハウスメディアとその活用事例をご紹介いただいた後、
原田さんがかかわっておられるPLM(パシフィックリーグマーケティング)社
が現在取り組んでいるIT関連活動と共同マーケティングについて、
その概要をお話いただいた。
スポーツビジネスの話は耳にする機会が限られているだけに、
地方都市の球団と大都市圏の球団のビジネス戦略の違いなど、
こうした機会でもなければ聞けないような話が目白押し。
また、千葉ロッテのCRM戦略について、
その背景から具体的な施策、そして効果に至るまでを
数値を交えて具体的にご紹介いただいたのに感激!
千葉ロッテは、球団の中でも人気が高いとはいえないことに加え、
地盤とする千葉は人口の流出入が激しく、ファンの流動性も高くなりがち。
こうした中、特定のファンを主体としたビジネス展開を目指してCRMを導入。
ポイント制度やスタジアム内のプラットフォーム、
Webサイトをはじめとする自社のネットメディアを通してお客さま情報を収集、
行動・購買履歴を紐付けて分析することで、
メルマガやクーポン、eDMなどさまざまな施策につなげているとのこと。
CRM導入の効果は、ズバリ、入場料収入の増大。
中でもファンクラブの会員数&入場料収入が増大し、
会員による事業収入が全体の半分近くを占める結果に。
さらに、チケットの前売り率や直販率が高まることで、
データに基づく科学的なマーケティングが展開できるようになったという。
CRMのケーススタディは、取材やセミナーなどの機会で
何度となく耳にしてきたが、千葉ロッテはまさにその成功事例そのもの。
その効果がこれほど明確に現れているケースは少ないといえるだろう。
何億をかけてメジャーリーガーを引っ張ってくるのもいいが、
こうしたファンと球団をつなぐインフラの構築は、
それと同様に、いや、長期的に見ればそれ以上の価値があるに違いない。
インフォーマルな勉強会ということで参加者は15名ほどと限られていたが、
終了後の飲み会まで含めて、参加者は大盛り上がり。
私は酒の勢いで、野球には興味はないけど、
もしどうしてもどこかの球団のファンクラブに入らなければならないとしたら、
原田さんが仕切られる千葉ロッテのそれに入ると断言してしまった。[[pict:wink]]
これで私がかかわっている今月の6つのセミナーのうち3つが終了した。