創刊15周年記念・コメンテーター座談会

2010年11月23日

昨日は、月刊『アイ・エム・プレス』創刊15周年記念号に向けて、
計7名のコメンテーターの中から4名にお集まりいただき、
数年ぶりにコメンテーター座談会を開催した。
ご参加いただいたのは、下記の4名。司会は私が務めさせていただいた。
■(株)ドゥ・ハウス 代表取締役 稲垣佳伸氏
■(株)電通デジタル・ホールディングス 取締役 専務執行役員 藤田明久氏
■日本ダイレクトマーケティング学会 理事
 パーソナル・コミュニケーション・クリエイターズ チェアマン 藤田浩二氏
■ウィトンアクトン社 代表取締役
 早稲田大学商学学術院客員教授 ルディー和子氏
今回の座談会は、1995年11月に創刊した月刊『アイ・エム・プレス』
創刊15周年を記念したものであると同時に、
15周年記念号=2011年新年号でもあるので、
下記の4つの項目について、ディスカッションしていただいた。
①過去15年間のインタラクティブ・マーケティングの変遷を
どのように捉えておられるか
②2010年はインタラクティブ・マーケティングの観点から
どのような1年だったか
③インタラクティブ・マーケティングをめぐる読者への提言
④インタラクティブ・マーケティングをめぐる今後の展望
なお、“インタラクティブ・マーケティング”にこだわるのは、
(いまさらではあるが)弊誌の誌名である『アイ・エム・プレス』が、
インタラクティブ(Interactive)なマーケティング(Marketing)を
プレスするというところからとったものであるため。
また、ここでのインタラクティブ・マーケティングの定義は、
オンライン/オフライン双方のダイレクトマーケティング、CRM、
コールセンター/コンタクトセンターを含むというのが前提である。
過去15年間の変遷にかかわる①では、
藤田(浩二)さんが弊誌が創刊された1995年以前の15年と以降の15年では、
メディアのパラダイムが大きく変化し、
今ではインターネットが当たり前のインフラになってきたと指摘。
稲垣さんは、インターネットが開発されて約50年を経て、
いよいよ本格的なインタラクティブ・マーケティングの時代が到来したと指摘。
稲垣さんによると、新たな技術が開発されてから本格的に活用されるまでには、
50年を要するのが常とのことだ。
藤田(明久)さんは、マーケティングの主権が(企業から生活者に)シフトし、
生活者が自在に情報を収集したり、(ネットを通して)取引をしたり、
情報を発信したりできるようになったことを指摘。
これに伴い自己責任が問われるようになってきたことに言及された。
ルディーさんは、インタラクティブ・マーケティングについて言われていることは、
この15年、あるいはそれ以上前から何ひとつ変わっていない。
ただ、この15年で(インターネットの普及などにより)
それができるようになっただけであると指摘。
次に、②の2010年がどのような年だったかについては、
詳細は月刊『アイ・エム・プレス』新年号の発売をお待ちいただきたいが、
2010年のインタラクティブ・マーケティングを象徴する事象として
コメンテーターの話題に上ったのは、下記のようなことであった。
■広告投資はマス→ネット、モバイルへ
■iPadなど生活者が用いる情報ツールの進化
■企業によるアソートメント→生活者が自分で気に入ったモノをセレクト
■ソーシャルメディア間のシンジケーション
■生活者のプライバシーをめぐる意識の変化
■フラッシュ・マーケティングがブームに
■モノではなく情報を楽しむ生活者
■金融危機の影響から抜け出ていない
■デフレ傾向が続く
これに続く③の読者への提言では、
4名のコメンテーターがそれぞれに、山積する課題を次々と指摘。
限られた時間の中で、そのすべての解決策を議論するには至らなかったが、
チャレンジが大切であるということと合わせて、
デジタル・メディアは総じて(企業から見ると)受身であることから、
リアルのメディアやチャネルを併用するなどして、
いかに生活者に自社の商品やサービスに気付いてもらうかが重要ということは、
複数のコメンテーターに共通する見解であった。
最後の④の今後の展望に付いては、
10年後の2020年を視野に入れてディスカッション。
ネットのさらなる進展や、これに伴うビジネスの変化を指摘する声が挙がる一方で、
その傍らに残される物流問題にクローズアップしたり、
クロスメディア化に伴う複雑化に辟易して
古き良き時代への揺り戻しがあるかもしれないといった指摘も。
最年長の藤田(浩二)氏の、生活者は情報をレイヤーごとに取り扱うようになるが、
最後に残るの(最上位のレイヤー)は、
昨日の座談会のような自分の生の体験であるという一言が心に沁みた。
月刊『アイ・エム・プレス』では、これまでにも何回か
コメンテーター座談会を開催してきたが、
ここしばらくこの企画をお休みしていただけに、
今回の座談会はご紹介したとおり、なかなかの充実ぶり。
藤田(浩二)さんは古巣の電通を離れてフリーになられたためか、
これまで以上にご自身の生活者としての体験を交えて語られるようになった印象。
藤田(明久)さんはコメンテーター座談会には初登場だったが、
しっかりと練られたお考えを提示され、説得力ではピカイチ。
人とは異なる観点からシャープに切り込んでくるルディーさんの得意技は健在。
そして、30年の長きに渡って軸のずれないさすがの稲垣さんと、
それぞれが変に時代に流されず、また互いに迎合することもなく、
それぞれのスタンスでディスカッションしてくださったのが嬉しかった。
こんなに素晴らしいコメンテーターに支えていただいている弊誌は、
そしてその発行人である私は幸せ者だと思う。
でも、願わくば、もう少し売れないと・・・ね。
※本ブログは、昨晩の座談会のほんのさわりのみを
自分のメモに基づき勝手に紹介したものなので、文責はひたすら私にあります。
本座談会の詳細は、12月25日、クリスマスにお届け予定の
月刊『アイ・エム・プレス』1月号をご覧ください。