再春館製薬所を訪問

2007年11月4日

先週の月・火と、九州は熊本の再春館製薬所を訪れた。
目的は、月曜日に開催された同社主催の「御礼の会」への参加と、
次号の月刊『アイ・エム・プレス』の特集の取材。
前回のブログに書いた通り、次号の特集は「ピンチから学ぶお客様対応」だ。
私が同社を訪れたのは、2004年12月号に掲載された
西川正明社長へのトップインタビューの取材に続いて2回目。
前回の訪問時との大きな違いは、それまでは工場が置かれていた
ヒルトップと呼ばれる敷地内に本社オフィスが移転したこと。
移転の主旨は、企画、開発、生産、販売、配送など、
ダイレクトマーケティングのあらゆる機能を一ヵ所に集約することで、
お客様の要望により速く、きめ細かく対応しようというもの。
そこで、改めて社内を見学させていただいたのだが、
その建物の細部に渡る工夫と、従業員教育の徹底振りには、
前回の訪問時にも増して脱帽させられた。
ヒルトップは、熊本空港から車で10分ほどのところにあり、
総坪数7万坪の広大な敷地に「薬彩工園」と呼ばれる工場、
「つむぎ商館」と呼ばれる本社オフィスに加え、
お客様をお迎えする受付とロビーのある「歓迎館」、
そして、従業員の子供たちのための「わんぱく保育園」が設けられている。
今年の1月にオープンした「つむぎ商館」は、
1Fがオフィススペース、2Fがカフェテリアとなっており、
オフィスは間仕切りのないワンフロアにすべての機能が集約。
その中心には、TMセンターと呼ばれるコールセンターが居を構えている。
同社にとってコールセンターは言わば心臓部であり、
そこを核に、同社にとって“血液”とも言える情報が還流している。
企業や商品の情報が動脈を伝ってセンターに集約、お客様に発信される一方、
お客様の声が静脈を使って社内に戻ってくるという情報の流れが、
オフィスのレイアウトそのものに具現化されているのだ。
また2Fのカフェテリアでは、窓の向こうに広がる阿蘇の絶景を眺めながら、
家庭料理のプロによる手作りの料理を味わえるなど、
従業員の健康のためのきめ細かい配慮が施されている。
「つむぎ商館」は、お客様や従業員に限らず、地球にも優しい設計だ。
自然の光や風を十二分に活かした設計、太陽光発電により、
晴天時の使用電力のほぼ100%がまかなえる仕組み。
また、雨水を晴天時の散水に使うための貯水システム、
工場排水を浄化してトイレの水洗用に用いる仕組みなど、
エコロジーの実践に向けての工夫が随所に施されている。
こうした数々の工夫は、約200人の社員の参加による
45のプロジェクトチームからの提言に基づき設計されたという。
プロジェクトチームの名前は、「TMセンターの進化にこだわるチーム」
「もっと密な情報共有にこだわるチーム」などユニークなものばかり。
見学時に出会った同社の従業員が誰一人の例外もなく、
お客様にきちんと挨拶し、輝かしい笑顔で対応していたのは、
自分たちの職場のあるべき姿を、自分たちの立ち位置から真剣に考え、
そして実際のカタチにしてきたことの証にほかならない。
忙しさにかまけている弊社の日常を振り返ると、
つくづく、頭が下がる思いがした。