先週の月・火と、九州は熊本の再春館製薬所を訪れた。
目的は、月曜日に開催された同社主催の「御礼の会」への参加と、
次号の月刊『アイ・エム・プレス』の特集の取材。
前回のブログに書いた通り、次号の特集は「ピンチから学ぶお客様対応」だ。
私が同社を訪れたのは、2004年12月号に掲載された
西川正明社長へのトップインタビューの取材に続いて2回目。
前回の訪問時との大きな違いは、それまでは工場が置かれていた
ヒルトップと呼ばれる敷地内に本社オフィスが移転したこと。
移転の主旨は、企画、開発、生産、販売、配送など、
ダイレクトマーケティングのあらゆる機能を一ヵ所に集約することで、
お客様の要望により速く、きめ細かく対応しようというもの。
そこで、改めて社内を見学させていただいたのだが、
その建物の細部に渡る工夫と、従業員教育の徹底振りには、
前回の訪問時にも増して脱帽させられた。
ヒルトップは、熊本空港から車で10分ほどのところにあり、
総坪数7万坪の広大な敷地に「薬彩工園」と呼ばれる工場、
「つむぎ商館」と呼ばれる本社オフィスに加え、
お客様をお迎えする受付とロビーのある「歓迎館」、
そして、従業員の子供たちのための「わんぱく保育園」が設けられている。
今年の1月にオープンした「つむぎ商館」は、
1Fがオフィススペース、2Fがカフェテリアとなっており、
オフィスは間仕切りのないワンフロアにすべての機能が集約。
その中心には、TMセンターと呼ばれるコールセンターが居を構えている。
同社にとってコールセンターは言わば心臓部であり、
そこを核に、同社にとって“血液”とも言える情報が還流している。
企業や商品の情報が動脈を伝ってセンターに集約、お客様に発信される一方、
お客様の声が静脈を使って社内に戻ってくるという情報の流れが、
オフィスのレイアウトそのものに具現化されているのだ。
また2Fのカフェテリアでは、窓の向こうに広がる阿蘇の絶景を眺めながら、
家庭料理のプロによる手作りの料理を味わえるなど、
従業員の健康のためのきめ細かい配慮が施されている。
「つむぎ商館」は、お客様や従業員に限らず、地球にも優しい設計だ。
自然の光や風を十二分に活かした設計、太陽光発電により、
晴天時の使用電力のほぼ100%がまかなえる仕組み。
また、雨水を晴天時の散水に使うための貯水システム、
工場排水を浄化してトイレの水洗用に用いる仕組みなど、
エコロジーの実践に向けての工夫が随所に施されている。
こうした数々の工夫は、約200人の社員の参加による
45のプロジェクトチームからの提言に基づき設計されたという。
プロジェクトチームの名前は、「TMセンターの進化にこだわるチーム」
「もっと密な情報共有にこだわるチーム」などユニークなものばかり。
見学時に出会った同社の従業員が誰一人の例外もなく、
お客様にきちんと挨拶し、輝かしい笑顔で対応していたのは、
自分たちの職場のあるべき姿を、自分たちの立ち位置から真剣に考え、
そして実際のカタチにしてきたことの証にほかならない。
忙しさにかまけている弊社の日常を振り返ると、
つくづく、頭が下がる思いがした。
再春館製薬所を訪問
2007年11月4日