住商オットーにインタビュー

2006年10月15日

先週は、月刊「アイ・エム・プレス」のトップ・インタビューで、
住商オットーの蜂谷社長にお目にかかった。
紙媒体からスタートした通販会社へのトップインタビューは
久しぶりだったことに加え、この分野のご経験が長いだけに、
なかなか面白いインタビューになった。
本誌より一足早く、そのアウトラインを紹介しよう。
最近では通販業界の売上高が大きく伸張しているが、
これはインターネット通販やモバイル通販の伸びに支えられたもので、
従来からの紙のカタログの伸びは横ばい、もしくは微増となっている。
こうした中で紙媒体からスタートした通信販売会社にあっても、
インターネット通販を強化しつつあり、
ネットとの相性が良い若年層をターゲットとした通販会社にあっては、
総売上高の40%以上をインターネットで販売するに至っている。
しかし、45~55歳をコアターゲットにしている同社においては
インターネット通販の売上高構成比は低く、
売上高の10%台となっていることから、
目下、インターネット通販のユーザビリティを高めると同時に、
30代をターゲットにしたインターネット専用商材を投入することで、
この分野の底上げを推進しているという。
MD面では、現在、婦人アパレルが主体となっているが、
今後はこれ以外の商品を拡充していく意向。
また婦人アパレルについては、現在の商品ラインはファッション性が高く、
安定的な売り上げの確保が困難であることから、
これに加えて、よりカジュアルなラインを拡充することで、
売り上げの安定を図っていきたいとしている。
ターゲットは、前述の通り45~55歳が中心となっているが、
これを35~45歳層にも拡大していく意向。
顧客開発手法については、従来、折り込みチラシを主体としてきたが、
2~3年前からは効率が低下してきたことから、
主力を外部リストへのDM発信やインターネットに切り替えている。
インターネットによる顧客開発手法としては、
yahoo!や楽天へのショップ展開、アフィリエイトプログラム、
インターネット広告などが挙げられる。
これらの手法により開発された顧客には、
婦人アパレル、服飾雑貨、雑貨の商品カテゴリー別に構成された
3種類のカタログが送付される。
このほか来年には、前述したカジュアル衣料の強化に向けて、
新規カタログをテスト展開する計画。
またサイト上では、カタログと同様の形態で商品が見られるほか、
ネットの特性を活かした単品ごとの検索機能も装備している。
冒頭でも述べたように、同社ではインターネット通販の強化に乗り出しているが、
現在のところ、カタログで商品を選んでネットで注文する顧客と、
ネットで商品を選んでネットで注文する顧客はほぼ半々といったところ。
インターネットとカタログのどちらか一方を利用する顧客よりも、
双方のチャネルを利用する顧客のほうがリテンションが高いことから、
後者の顧客にもカタログを送付しているという。
また、顧客維持については、次の3点に注力している。
1点目は、通販における永遠の課題である、
カタログと実際に商品を手にした時とのギャップを限りなく低減すること。
商品そのものの品質向上と、カタログ上の表現の適正化の
双方のアプローチから課題解決を推進している。
2点目は、ロイヤルティプログラムの展開。
これは顧客の購入実績に応じて、ポイントではなく割引を提供する仕組みだ。
そして3点目は、顧客との貴重な接点である、
コンタクトセンターにおけるサービスを拡充すること。
これらの施策を通して、顧客満足度の向上を図っているわけだ。
また同社では、この9月に20周年を迎えたが、これに先駆けて昨年より、
企業風土の刷新を含めた「トータルブランディング」を推進中。
この1月からすべてのカタログをOttoブランドで統一したほか、
「トータル・カスタマー・サティスファクション」の実現に向けて、
「カスタマーボイス」の全社員へのフィードバック、
若手女性社員15名による「顧客満足向上委員会」の運営、
Webサイト上への「オープンライン」の開設に取り組んでいる。
今後は、Otto、グループのEddie Bauerに次ぐ
第三の柱を構築するべく、目下、提携先の洗い出しに乗り出している。
提携先の候補企業の1社はCrate&Barrel
Crate&Barrelのようなストア・リテイル中心の企業との提携を実現することで、
カタログ、インターネット、店舗の3つのチャネルを駆使した
マルチチャネル展開を図っていきたいとしている。
ちなみに、Crate&Barrelは、私が大好きな米国の雑貨&インテリアショップ。
日本でも同社の商品が買えるようになると、嬉しいのだが・・・・・。
なお、本インタビューは、月刊「アイ・エム・プレス」12月号に掲載の予定。
誌上では、より詳細な情報やデータを交えて、
3ページに渡りインタビューの模様を紹介する計画だ。