上原先生にインタビュー

2009年2月11日

昨日は、月刊『アイ・エム・プレス』コメンテーターをお願いしている、
明治大学大学院 グローバルビジネス研究科の上原征彦先生に
この不況をどう乗り切るかをテーマとしたインタビューにお伺いした。
私が用意していった質問項目は、以下の3点である。
①現在の不況をどのように捉えるべきか
②不況に打ち勝つための方法論
③上記におけるインタラクティブ・マーケティングの意義
まず、①については、今回の不況はアメリカの金融資本主義の崩壊に伴うもので、
農産物の供給過剰を発端にした1929年の世界大恐慌とは異なるとのこと。
金融資本主義はあらゆる資産に価値(価格)を付ける時価主義につながるが、
本来、価格は需要を前提に付けるべきものであるにもかかわらず、
金融資本主義下では「仮需」を前提に価格を付けていった。
そして、実際にはそれほどの需要は存在しないことが明らかになる中で、
減価資産と余剰資産が生じ、資産価値が暴落したのが今回の不況である。
したがって、今回の不況は、世界大恐慌時のような需要拡大策では
乗り切ることができないのではないかとのことであった。
次に②については、将来の課題解決に向けて既存の資産を
有効活用することが重要とのことで、
今後の有望分野として、地球環境、高齢化、農業、モバイルなどを挙げられた。
また、既存の需要に関しては、過剰供給の中で価格戦略が重要になると指摘、
単なる安売りはマーケットを崩壊するとして、以下の3つの戦略を紹介。
・高品質・高価格戦略=品質で差別化
・価格差別化戦略=価格を下げる
・両面差別化戦略=商品ごとに戦略的に双方を使い分け
これを実現するためには、商品を絞り込むと同時に、
品質と価格のコントロール力を持つことが大切だとして、
サプライチェーンの重要性を指摘された。
最後の③については、生産と消費をダイレクトに結びつけることが重要とのこと。
ダイレクトマーケティングにおいては顧客を組織化することで、
消費者に生産の技術にかかわる情報をダイレクトに流すと同時に、
消費者の情報を生産者にダイレクトに伝えることが大切であり、
そうした取り組みを通して需要予測の精度を高め、
仮需を限りなく実需に近づけることができるとのことであった。
さらに、この不況を乗り切るためには、
新しい技術を見つけることが重要であるとして、
将来、ダイレクトマーケティングは技術のマーケティングになる、
としてお話を締めくくられた。
以上は、1時間に上るインタビューのアウトラインを
私のメモに基づきリポートしたものなので、文責はあくまでも私にある。
インタビューの詳細にご興味がある方は、ちょっと先になりますが、
月刊『アイ・エム・プレス』4月号に掲載されますので、
3月25日までお待ちください。