一冊で3回びっくりした本

2005年11月4日

昔「一粒で二度美味しい」みたいなコピーがあったが、
「一冊で3回びっくりした本」がある。
写真の「美人のひと言」がそれである。
まず、ひとつ目のびっくりは、それが友人から
「ブログでとり上げてくれないか」と送られてきたこと。
弊誌で紹介して欲しいと送られてくる本は少なくないが、
このブログに載せてほしいと本が送られてきたのはこれが初めて。
2つ目のびっくりは、それがよりにもよって
「美人のひと言」(PHP研究所)というタイトルであったこと。
副題は「女性が劇的に進化する魔法の100フレーズ」だが、
何もなければ、私は書店で手にすることもなかっただろう。
弊社の女性スタッフに聞いても、その点については同意見だ。
そして3つ目は、タイトルからイメージされる書籍と
実際の内容の大きなギャップである。
私が「美人のひと言」というタイトルからイメージしたのは、
(本書が中年男性2名の共著によるものだけに)
著者がこれまでの人生の中で出会った美しい女性の回顧録とか、
女性が男性にモテルための言葉遣いのマニュアル本の類だったが、
実際の内容は前者よりは後者に近いものの、
「男性にモテルため」というのとはちょっと趣が異なる。
本書は、マナー美人になれるひと言、生き方美人になれるひと言、
社交美人になれるひと言、仕事美人になれるひと言、
幸せ美人になれるひと言の五章から構成。
例えば、「自分の意志をきちんと相手に伝える。
この当たり前のことを曖昧にしてる人もいる。」
といった見開きごとに設定されたテーマに即して、
赤羽建美氏による日本語のコラムと、
ピート小林氏によるおすすめの英語フレーズとその解説が
パッケージになって掲載されており、
気の利いた英語表現とその背景にある考え方を知ることで、
英語そのものもさることながら、
英語的なコミュニケーション・センスを学ぶのに役立つ。
だから、本書の大半は男性にも通用するのだ。
私にとっては、英語表現の背景にある文化を学ぶ上で、
既存の英語の教科書以上に価値があったが、
最後まで読み終わって改めて思うのは、
なぜ「美人のひと言」というタイトルにしたのかということ。
「そのほうが売れる」と出版社が判断しているとすれば、
そのこと自体、ちょっと女性を舐めている気がするのは私だけ?
それとも、中年男性である共著者達の女性への憧憬が、
このタイトルに帰結したのか?