昨日は、月刊「アイ・エム・プレス」8月号の特集の
総論のためのブレストを開催した。
特集のテーマは、ロングテール。
ロングテールとはそもそも、商品を横軸、販売数を縦軸にとり、
販売数の多い順に並べたグラフにおいて販売数の少ない商品群が
恐竜の長い尻尾のように伸びる現象を意味しており、
オンライン書店のアマゾンがその代表例と言われている。
総論会議では、今回、取材にご協力いただいた4社の概要に関する
編集担当者のリポートを受けて、特集の主旨と背景、取材結果の紹介、
編集部の結論に分けてディスカッションを展開。
最後にこれまで「仮」で進めてきた特集のタイトルの
アイディアラッシュを行って無事、終了。
結果、特集の総論は、以下の通り進めることになった。
■特集の主旨と背景
一昨年から昨年にかけて、日本においてもロングテールが話題となり、
さまざまな書籍が刊行されたり、セミナーが開催されたりしたが、
最近はなぜかこの言葉を耳にする機会が少なくなってきた。
これは、ロングテールの解釈を巡ってさまざまな誤解や、
意味の混乱が生じたことが原因ではないだろうか。
また、ロングテール型のビジネスで成功するためには、
ただ単に豊富な品揃えを図ればいいというわけではなく、
ほかにもさまざまな条件(前提)が必要だ。
そこで弊誌では、ブームが去ったかに見える今日、
改めて実際の企業への取材や、専門家へのインタビューを通して、
ロングテール型のビジネスを再検証することにした。
■取材結果の紹介
今回取材した、以下の4社における、
①品揃え拡充の背景、
②商品ごとの売上高が実際にロングテールを描いているのか、
③豊富な品揃えを実現するための仕入れ、在庫・物流面における工夫、
④豊富な品揃えを活かしたプロモーション施策、
⑤品揃え拡充の効果をダイジェストして紹介。
<取材先>
・久米繊維工業
・ストラップヤネクスト
・文化放送
・ケンコーコム
■編集部の結論
企業の売上高が客数×客単価で構成される以上、
売上高を増大するためには、客数または客単価のアップが不可欠。
(適切な)品揃えの拡大が、客単価アップはもちろん、
多少なりとも新客の獲得に寄与するであろうことは疑う余地がない。
しかし、品揃えを拡大するためには、
売り場作りやプロモーションにそれなりのコストが伴う。
確かにインターネットでは、リアルの店舗やカタログ通信販売に比べて
低コストで品揃えを拡大できるが、とは言え、
ただいたずらに品揃えを拡大しても意味がないと言えるだろう。
こうした中、前述の4社は自社の経営資源を活かすと同時に、
さまざまな工夫を積み重ねることで、品揃えの拡大を実現している。
また、サーチエンジン・マーケティングなどにより、
豊富な品揃えを積極的に売りに繋げていくことも重要であろう。
さらに、現在、ロングテール型のビジネスを展開している企業の中には、
詳細な顧客分析が後手に回っているところも少なくないが、
インタビューにご協力いただいた筑波大学の水野先生も指摘されるように、
CRMの観点から品揃えを検証することも忘れてはならない。
これまでに弊誌の中で何人かの方が同様の指摘をされているように、
テール部分の商品が優良顧客により支えられていることもあるからだ。
水野先生は「ヘッドとテールのバランスが重要」と言われているが、
特定企業の品揃えの中でこれを考える時に、
CRMの視点からの考察を加えることが大切だと言えそうだ。
ロングテール特集の総論会議
2007年7月3日