リストの目検

2005年11月19日

昨晩から今日にかけて、月刊「アイ・エム・プレス」を始めとする
弊社出版物のDM送付先リストの目検をした。
関連する業界団体の会員名簿の中から、
弊社の出版物を買っていただけそうな方をチェックするという、
滅茶苦茶、地味な仕事である。
これは、弊社のようなニッチ・マーケットに向けた
B to Bダイレクトマーケティングには必須の業務。
母体となる外部リストの選定もさることながら、
これをいかに丹念にチェックしていくかが、
新規顧客開拓のDMの成否を決める重要な要素となる。
DMキャンペーンの結果が振るわないのは、商品が悪い?
そんなことを言っていたのでは、出版社は商売上がったりだ。
そうではなく、自社の出版物に価値を感じていただけそうな方を
企業内個人ベースでいかに抽出するかが仕事というものなのだ。
この仕事は、一見、地味な単純作業に見えるが、そうではない。
正直、けっこう辛いが、新入社員なんかにはまかせられない、
ナレッジとクリエイティビティが求められる仕事なのだ。
ナレッジについては、一般的な企業に関する知識もさることながら、
自社商品のマーケットに関する知識が求められる。
とは言え、すべての企業の知識なんかあるわけないので、
限られた知識をベースに知恵を働かせるという意味で、
クリエイティビティも求められるというわけだ。
通信販売会社の名簿を例に、説明しよう。
つまり、通信販売を実施していることが前提となるわけだが、
弊社の場合、次には企業規模が気になるところだ。
そこで、大手なのか、中小なのかによって、
前者であれば通販担当者、後者であれば社長、
あるいは前者であれば2名、後者であれば1名といった具合に、
対象先の人数と役職を決定する。
これだけなら話は簡単だが、実際にはここに色々な要素が関わってくる。
たとえば、通信販売実施企業は大きく、専業と兼業に分かれる。
兼業は、百貨店の通販部門であったり、
今、流行りのメーカーの通販部門であったりするわけだが、
兼業の場合は企業規模は大きくても、
通販部門の人数は限られていたりするので、
そこに2通は多すぎると、送付先を1人に絞り込んでみたりするのだ。
また、複数の個人名が出ている場合には、
「どうやらここは同族会社らしい」ということがわかったりもする。
そういう時には、設立年月を見て、
おそらくはお歳を召しているであろう社長ではなく、
何年か後に二代目社長となるであろう、
社長と同じ苗字の専務を選んでみたりする。
あるいは、消費者相談窓口のところに、
業務とか総務系の部署が書かれている企業と、
顧客サービスとかCRMとか書かれている企業を比べると、
弊社の出版物の価値をご理解いただけそうなのは、
圧倒的に後者という気がする。
また、各地の産品を通信販売している地場のメーカーの場合は、
名簿に公開された情報の中から、
誰が通販を推進しているキーマンかを想像する。
同族会社の場合は息子さんらしき部長かもしれないし、
商品カテゴリーにより社長の職人肌度合いを判断し、
社長にするか、通販部長にするかを決めたりする。
というわけで、リストの目検は地味な仕事には違いないが、
限られた情報から見込み客のイメージを膨らませるなど、
ナレッジとクリエイティビティが不可欠の世界。
大量の情報の中から、「ふーん!」と新たな発見をすることもある。
そして何よりも、そうして丹念に目検したリストにDMを打ち、
たくさんのレスポンスがもたらされれば、
この地味なプロセスは大きく報われることになるのだ。