メーカーの顧客志向度

2006年7月19日

このところ、パロマの屋内設置型湯沸器による一酸化炭素中毒事故と、
これに伴う同社の「対応の遅れ」「態度の変化」が話題になっている。
前者は1985年1月の最初の死亡事故以降、
2005年までの計27件の事故をすべて把握していたにもかかわらず、
エンドユーザーには20年以上も事故の危険性を知らせていなかったこと。
後者は、14日の記者会見では自社の責任を認めていなかったものが、
18日の会見では一転して謝罪に終始したということだ。
今日の日経朝刊には同社の「お詫びとお願い」の広告が掲載されており、
該当機種保有者に24時間受け付けのフリーダイヤルに電話をかけるよう、
呼びかけている。今後の事故防止のため、当該製品の点検および、
修理・回収を実施すると同時に、希望者には無償交換するという主旨だ。
また、同社のWebサイトを除いてみると、トップページに点検状況の報告として
受付件数、対象製品受付件数、点検済件数、改造件数が掲載されており、
かつ前述の新聞広告と同様の広告がPDFでぶら下がっている。
同様の広告、この間も見たな・・・と思い出したのは、
松下電器のFF式石油暖房機の一件のお詫び広告。
あのおかげで松下電器の業績は好調という噂を耳にするが、
実のところはどうなのだろうか?
ちなみに同社のWebサイトのトップページには現在も
FF式石油暖房機を探している旨の告知がなされ、
テキストリンクを辿ると「引き続き、お客様へのお願いです」
と題した、告知ページにたどり着く。
そんなこんなをチェックしていてふと思ったのは、
石油暖房機もさることながら、特にガス湯沸器は、
購入時にほとんどブランドを意識していないな~ということ。
同じ家電と言えども、AV製品やPC購入時にはブランドを相当意識するし、
冷蔵庫などのいわゆる白物についてもそこそこ意識するが、
それに対して湯沸器購入時にブランドを意識した記憶はほとんどない。
ガス屋さんが薦めてくれた商品をそのまま素直に買う感じだ。
複数の提案があれば、機能と価格ぐらいは検討するが・・・。
冷蔵庫にカラーバリエーションができて、
おしゃれに変身したのは、もう10年以上前のことだろうか?
一方で湯沸器は未だにインテリアとは無縁の存在。
例えば女子学生のアパートなんかでは、
真っ赤なハート模様の小型湯沸器が売れないかなとか、
男子学生のアパートにはマッチ売りの少女柄はどうかとか、
(これらは冗談にしても)何か考えなかったのだろうか?
そもそも、小型湯沸器そのものがなんか格好悪くないか?
冒頭で述べた「対応の遅れ」や「態度の変化」は、
メーカーとしての顧客志向度の低さの表れに違いない。
そしてそのことが、CRM視点に基づくブランド政策や
商品開発の遅れにも繋がっていると思えてしまう。
そう言えば以前に、屋外設置型のガス湯沸器の修理に当たって、
ガス会社と家電メーカーの連携のあまりの悪さに
怒り心頭に達したこともあったっけ。