テスティモニュアル

2007年2月18日

皆さんは、「テスティモニュアル」という言葉をご存じだろうか。
Yahoo!で検索してみたところ、ウィキペディアが出てくるかと思ったら、
なぜか日本郵政公社の「DM factory.jp」が出てきたのだが、
ここではテスティモニュアルを以下のように説明している。
「企業の発想ではなく、(商品を既に購入した)利用者からの発想で
商品を語らせるテクニック。」
「テスティモニュアル」では検索結果が3件とあまりに少なかったので、
「テスティモニアル」と、小さな「ユ」を除いて検索してみたところ、
今度は442件が表示された。上位に表示された中で用語集らしきものを探し、
「AffiliatePortal.net」というサイトをのぞいてみると、
そこには、テスティモニアルとは推奨型広告のことであると記されており、
推奨型広告の項目に下記のような記述があった。
「テスティモニアルとも。有名な個人や会社からの推奨文を含んだ広告を指す。
通常のバナー広告より高い効果が期待できる。一昔前の事例ではあるが、
マーサスチュアートの推薦文が効果的に使われている生活雑貨の広告を
想像していただきたい。その効果がわかるであろう。」
今さら、なぜこの「テスティモニュアル」が気になり始めたかというと、
昨日、スタッフの原稿をチェックしながら、ふとこんな思いが頭をもたげたからだ。
生活者参加型の企業のコミュニティサイトや、
ブログやSNSなどのCGM(Consumer Generated Media)って、
広告の世界の言葉であるこの「テスティモニュアル」が、
インターネット上に広がっているみたいなものじゃない?
企業が主宰するコミュニティサイトの中には、
この「テスティモニュアル」効果を狙ったものが少なくない。
特に薬事法により広告表現が難しいダイエットや健康食品の分野で、
こうしたアプローチが多く見られる。
しかし、これは何もインターネットが普及した今日に始まったものではなく、
アナログの世界でも広く見られた手法だ。
例えば、健康食品の通信販売DMに愛用者の声が掲載されていたり、
愛用者の声を満載した会報誌が、DMに同封して、
あるいはDMとは別立てで送付されているのをご覧になった方も多いだろう。
一方、CGMはあくまでも一般生活者が主宰するメディアだが、
これがリンクやトラックバックにより企業サイトと繋がっていくと、
クリックを介して「テスティモニュアル」と同様の効果が実現できる。
もちろん、中には単に商品・サービスの感想を書いているブログもあれば、
アフィリエイトで何らかの報酬を得ているブログもあるだろう。
つまり、インターネット時代の口コミマーケティングとは、
古くからある「テスティモニュアル」を、
企業のコミュニティサイト内の書き込みはもちろん、
CGMをも巻き込んで展開することと言えるのではないだろうか。
そこには(企業にとって)良い口コミもあれば、悪い口コミもあるのだから、
企業にとっては良い口コミを少しでも多く醸成することが重要だが、
これを継続的に実現するのは容易なことではない。
なぜならば、そもそもこれは「テスティモニュアル」の主導権が、
生活者に委譲されていることを意味するのだから。
※ところで、テスティモニュアルを英語の辞書で調べたところ、
スペリングはTestimonialなので、日本語表記に当たっては、
小さな「ユ」は入れないほうがより英語の発音に近いのかもしれない。