ダイレクトマーケティングに思う

2006年11月10日

私が今を去る20年以上前に学んだダイレクトマーケティングの定義は、
「ダイレクトマーケティングとは、ひとつ、または複数の広告メディアを
用いることにより、効果の測定できるレスポンスを発生させ、
商取引をどんな場所でも行うことができる双方向性のマーケティング」。
これは当時、米国の「ダイレクトマーケティング」誌に掲載されていたもので、
時代と共に改定がなされ、その後「顧客データベース」を中心とする旨の
記述が加えられたように記憶しているが、あまりにも昔のことだけに、
今にわかにその当時の資料を紐解くことはできない。
当時、私はマーケティング・リサーチの会社に勤務しており、
カタログ通信販売や訪問販売、生協の共同購入などの無店舗販売、
あるいは今で言うCRMの原型とも言える顧客の組織化、
テレマーケティングなどをテーマに調査リポートを発行していたのだが、
アメリカからやってきた、ダイレクトマーケティングという概念を知り、
以来、企画や調査、レスポンスメディアの制作、出版・セミナーなどの形で
これにかかわってきたのだ。
当時の私にとって、ダイレクトマーケティングという概念との出会いは、
昨今のWeb2.0のお祭り騒ぎさながらに、まさに“目からウロコ”の体験だった。
理由のひとつは、それまで私がウォッチしてきたカタログ通信販売が
メディアを活用した販売方法のひとつ、すなわち1小売業態だったのに対し、
ダイレクトマーケティングは顧客データベースに基づくマーケティングであり、
その活用範囲は販売のみならず、営業支援(営業担当者のリード獲得や
店舗やイベントへの来場促進)やプロモーションなど広範囲に及んでいたこと。
つまりダイレクトマーケティングを展開する主体は、
これを販売に活用するカタログ通信販売会社のみならず、
メーカーや店舗小売業、金融・サービスなど、広範囲に及んでいたからだ。
理由の2つ目は、顧客データベースに基づく
双方向のマーケティングであるダイレクトマーケティングは、
「顧客主導型」マーケティングの展開を可能にする手法であったということ。
20余年前のダイレクトマーケティングとの出会いを、
「昨今のWeb2.0のお祭り騒ぎさながらに、まさに“目からウロコ”の体験」
と表現したのは、まさにこの2つ目の理由によるところだ。
ダイレクトマーケティングという概念が日本に輸入されて20余年、
企業を取り巻く環境は大きく変化している。
またマーケティングの世界では、One to Oneマーケティング、
CRM、パーミッション・マーケティングなど、様々な概念が登場しているが、
これらの顧客志向のマーケティングの草分けであるダイレクトマーケティングには、
顧客からのレスポンスを最大化するためのメディア・プランニングや
オファーのあり方、クリエイティブ表現はもちろん、
顧客分析、ターゲティング、テスト・マーケティングなど、
インターネット時代のマーケターのヒントになる
先人達のたくさんの知恵が潜んでいるのである。