昨日は夕方から、ダイレクトマーケティング学会の
データベースマーケティング研究部会に参加した。
今回の講師は、シックス・アパート㈱ 執行役員の河野武さん。
シックス・アパートと言えば「Movable Type」でおなじみの、
ブログ界の大御所だ。今日は自宅でこれを書いているので、
正式なテーマの控えが手元にないのだが、要はWeb2.0にかかわるお話だった。
データベースマーケティング研究部会でこうした話題を取り上げるのは、
私の知る限りでははじめて。CGM(Consumer Generated Media)やら、
ロングテールやら、今話題のキーワードが飛び交う会合となった。
河野さんのお話の中で印象に残ったのは、
今昔のWOM(Word of Mouth、口コミのこと)の違い。
昔のWOMは、影響力は強いが、情報の伝達スピードが遅い、
聞き間違いなどによる情報の劣化が起きるなどのデメリットがあるのに対し、
紙やネットを媒体とした今のWOMは、同時に大勢に伝えることができ、
中でもネットの場合は口コミの伝播を加速する、
情報の劣化を防ぐことができるなどのメリットがあるが、
これと裏腹にたくさんの違法コピーが出回り、
法整備が求められるに至っていると整理されていた。
このほか、昨今のブログブームをロングテール現象に当てはめ、
多くの発行部数を誇る従来からのマスコミに対して、
個人のブログがロングテール部分を構成していると指摘。
これにはなるほど・・・と思わされた。
約2年前に月刊「アイ・エム・プレス」が創刊100号を迎えた時、
インプレスの塚本社長をインタビューしたのだが、
この時に塚本社長は、ネット上に星の数ほどの素人ライターが登場すると、
中には玄人ライターを上回る能力を発揮する人も出てくるだろう。
そうした中で我々出版社はどのような役割を担っていくのか、
と言われていたが、まさにそれが現実のものとなっているのである。
残念ながら(!)マスコミではないものの、
専門誌を発行する身としては、これは他人事では済まされない。
前述の違法コピーや心ない書き込みなどが横行する中で、
ロングテールの首(マスコミ)を凌駕し始めた尾(ブログ)の部分を、
量のみを理由に評価する気にはなれない。
しかし、現状を見る限りでは、だからと言ってマスコミであることが、
質を担保するための必要十分条件とは言い切れないであろう。
正直なところ、この点については目からウロコの回答は持ち合わせていないが、
重要なのは、提供するコンテンツの品質を担保することに違いない。
そのために信頼できるライターを内に抱えるか、
星の数ほどの素人ライターの手によるコンテンツの中から
独自の基準で選定したものをミシュランのように紹介するか、
いずれにしても、自社におけるコンテンツの品質基準を明確化し、
これを決死の覚悟で維持し続けていかねばならないのであった。
シックス・アパート
2006年10月28日