サービス・ドミナント・ロジック

2008年9月14日

先週、月刊『アイ・エム・プレス』のコメンテーターでもある、
法政大学経営大学院の嶋口先生をお訪ねした際、
マーケティングにおける「サービス・ドミナント・ロジック」にかかわる
「Studies in Technopreneurship」というブログ記事をいただいた。
「たまには、英語の資料にも目を通しなさい」ということだが、
さっそくナナメ読み(先生、ごめんなさい)したところ
インタラクティブ・マーケティングをテーマとする
月刊『アイ・エム・プレス』の基本的な考え方と共通する部分が多く、
この「サービス・ドミナント・ロジック」というコンセプトに興味を持つ傍ら、
なんでもっとスラスラと英語が読めないのかと腹が立つったらない。
月刊『アイ・エム・プレス』およびこのブログ(通勤電車)では、
「サービス・サイエンス」という概念には何度か触れた。
これはIBMがグローバルに提唱しているアプローチで、
日本IBM東京基礎研究所の日高さんによると、
「サービスを科学の対象ととらえ、科学的手法を用いて
サービスの持つ問題を解決し、サービスの生産性を高め、
サービスにおけるイノベーションをシステマチックに実現する」もの。
※サービス・サイエンスにかかわるこのブログの記事は、
下記を参照されたい。
http://gray.ap.teacup.com/applet/impress/msgsearch?0str=%82%A0&skey=%83T%81%5B%83r%83X%81E%83T%83C%83G%83%93%83X&inside=1&x=45&y=11
これに対して、「サービス・ドミナント・ロジック」は、
マーケティングの分野で提唱されているコンセプトで、
その主たる提唱者はVargoとLusch。
彼らは、サービスがモノ以上に広がったことに伴い、
モノは企業が提供するサービスのメディアとして見なされるようになり、
このことが企業などの組織とお客様との関係性を変化させていると指摘している。
つまり、いまやお客様が企業と一緒になって価値を創出する時代であり、
こうした中では、企業は自ら価値を創出するというよりも、
お客様に対して何らかの提案を行うことにより、
継続的に学習する組織へと進化していくというのだ。
最近の弊誌の特集を振り返ってみると、
2007年9月号の「製造業におけるサービスの底力」 では、
例えばアシックスの歩人館で行っている
個々人に最適なウォーキングシューズ選びのためのサービスや、
快適なカーライフをエンジョイするための日産自動車のカーナビなど、
製造業におけるサービスへの取り組みを取材したし、
2008年2月号の「急速に広まるネットスーパー/ネット宅配の魅力」では、
イトーヨーカ堂などのスーパーを中心とした
食材の買い物にかかわるネット宅配サービスを採り上げた。
また、カタログ通販やEコマースのような通信販売について言えば、
そもそも家にいながらにしてカタログやWebサイトで商品を選んで注文できること、
さらには注文商品が家に届けられるということ自体、
小売業のサービス化といった側面があるし、
一方の店舗小売業においては、2008年6月号で特集した
「サービス力UPの切り札? コンシエルジュ大研究」に見られるように、
付加価値の高いサービス提供による競争優位性の確保に余念がない。
さらに、コールセンターに目を向けると、
弊誌のロングランの連載記事としておなじみの
「コンタクトセンター最前線」をご覧いただければわかるように、
今では企業からお客様への情報発信基地としてだけではなく、
お客様からの情報受信基地としての位置付けを強化しており、
2~3年前からは、お客様の情報を収集・蓄積・分析し、
商品やサービスにフィードバックするVOC(Voice of Customer)活動が
ブームとも言える様相を呈している。
これらを冒頭で紹介したブログになぞらえると、
ひとつ目は製造業、2つ目と3つ目は小売業のサービス化のトレンドであり、
4つ目のコールセンターにおけるVOC活動の活発化は、
サービス化に伴いお客様との関係性が変化する中での、
新たなマーケティング・コミュニケーションのトレンドと言えよう。
こうした日本におけるトレンドを振り返ってみると、
前出のブログ記事の記述は海の向こうの現象ではなく、
すでに私たちの日常に次々と起きていることがわかる。
月刊『アイ・エム・プレス』は間もなく創刊150号を迎えるが、
今後もこうした企業とお客様とのインタラクティブなマーケティングのトレンドを
企業事例や調査結果など、最新の“事実”を踏まえて、
読者の皆様にお届けしたいと考えている。