コールセンターとマーケティング

2006年10月3日

最近、コールセンターのトレンドについて何度か質問を受ける機会があった。
そのたびにない知恵を絞って、自分なりにお応えするのだが、
要はコールセンターのマーケティング機能が見直されてきているように思う。
中でも注目されるのは、プロフィットセンター化とお客様情報の活用だ。
振り返ってみれば、月刊「アイ・エム・プレス」を創刊した1995年当時は、
“コールセンター”や“コンタクトセンター”よりもむしろ、
“テレマーケティング”という言葉が一般的であったが、
いつしか“コールセンター”が“テレマーケティング”を追い抜き、
ビジネスマンに限らず、一般生活者にまで浸透するに至っている。
“テレマーケティング”という言葉が日本にはじめて紹介されたのは、
1977年にマリー・ローマン著の「テレフォン・マーケティング」という
単行本がダイヤモンド社から発行されたのがきっかけ。
電話を活用したマーケティングを意味するこの概念は、
“使われるメディアが電話とは限らない”、
“遠隔地(テレ)の顧客や見込み客を対象とする”といった文脈で、
その後“テレマーケティング”へと進化を遂げていったのだ。
一方、“コールセンター”という言葉の普及は、
IT企業によるコールセンター・システム拡販への努力に負うところが大きい。
また、テレマーケティング就業者が増加する中で、
“働く場”としての“コールセンター”も存在感を増し、
数年前からはテレビドラマの舞台としても使われるようになってきた。
さらに、お客様窓口の名称に“コールセンター”を起用している企業が多く、
各社がこれをテレビCMなどで連呼していることも挙げられるだろう。
このほか、米国では“テレマーケティング”というと、
しつこい電話セールスがイメージされがちといったことも手伝い、
今や日本国内においても“テレマーケティング”という言葉は人気薄。
これに代わって“コールセンター”という言葉が一般化しているわけだ。
にもかかわらず、最近では、その“コールセンター”の
マーケティング機能が注目されているのはちょっと皮肉な現象だと思うのは、
私が古くからこの分野にかかわっているからだろうか。