コラボレーションで顧客開発

2006年7月25日

9月号(8月25日発行)の月刊「アイ・エム・プレス」の特集は、
企業間のコラボレーションによる顧客の開発について。
昨日は、午前中にエイケアシステムズのセミナーで講演、
午後からは本特集の取材に同行、そして本特集対談の司会と、
緊張感の高い1日だった。
さて、企業間の顧客開発を目的としたコラボレーションは、
数年前から特集テーマ案に上がっていながら未着手だった企画。
日本においてはクレジットカード会社や通信販売会社の
サービス商品としてのDM発送サービスはあっても、
複数企業がコラボレーションするかたちで
相手先の顧客のユニバース(<顧客>群)の中から
自社の顧客を開発する事例が限られていたというのがその背景である。
商品開発狙いのコラボレーションはかねてよりあったが、
この手のコラボレーションでは効果測定が難しいことから、
特集がイメージに流れてしまうのではと危惧していたのだ。
しかし最近では、新聞紙上でも企業間のコラボレーションに関する
記事を見る機会が増加し、商品開発に限らず、
顧客開発を巡るコラボレーションも一般的になってきた。
昨日の座談会で仕入れた情報によると、
その追い風となっているのは、個人情報保護法の全面施行。
これに伴い、かつて高額所得者名簿や紳士録などを利用していた
富裕層向けビジネスなどで新規顧客の開発が難しくなり、
同様のターゲットに向けて自社と競合しない商品を提供している企業と
コラボレーションする動きが加速しているのだ。
ところで、コラボレーションは最近の流行り言葉でもあるが、
その定義がはなはだ曖昧であり、概念を整理しようとすると、
スルっと逃げていってしまうような感じがする。
たとえば、前出のクレジットカード会社や通信販売会社の
DMサービスのように商品として体系化されたサービスと
コラボレーションが頭の中でごちゃごちゃになってしまったり、
あるいは短期的な取り組みはともかく、長期的な取り組みになると、
それは果たしてコラボレーションなのか? という気もするからだ。
米国では古くから、石油会社(SS)の請求書に
そのSSの顧客が欲しがりそうな他社商品の案内を同封したり、
あるいは、消費財のパッケージに、ターゲットを同じくする
他社商品が格安で購入できるクーポンを印刷するといった形で、
顧客開発狙いのコラボレーションが活発だったと聞くが、
こうした取り組みになじみの無い日本人にとっては、
その概念がなおのこと掴みにくいのだろう。
なお、この特集では、ハーレクイン、JCB、
サントリーほか計4社のケーススタディを掲載する予定。
実務家による対談には、以下の2名のコンサルタントの方々に
ご協力いただいた。
・AM Associates 代表 森本篤子さん
・KTマーケティング 代表取締役社長 土屋浩二さん
森本さん、土屋さん、どうもありがとうございました。