キオスクのCRM

2005年1月7日

キオスクなどの駅売店のCRMというと、違和感を感じる方が多いかもしれない。しかし、私自身は、小田急やJRの駅売店で、データベース化こそされていないものの、優良顧客としての特別扱いを受けている。皆さんの中にも、同様の体験をお持ちの方はいらっしゃるだろうか。
私は毎朝、小田急かJRの駅売店で、いまどきアウトなタバコを買う。これを繰り返しているうちに、ある日、小田急の売店の年配の女性が「どうぞ・・・」と言って、どこぞのタバコ会社のライターをプレゼントしてくれたのだ。その後、2ヶ月に1回ぐらいの頻度でその女性は私にライターをプレゼントしてくれる。そこにはその女性がライターを差し出す時の「どうぞ・・・」と、私がそれを受け取ったときの「どうも・・・」以外の会話はないのだが、それでも何がしかのコミュニケーションが成立している気がして、幸せな気分になれる。
そうこうしているうちに、今度は、小田急の売店で買い忘れたり、たまたまホームに降り立つや否や電車が来て売店に立ち寄る時間がなかった時に利用するJRの売店の若い女性が、ある日、私の目前に恥ずかしそうにライターを差し出した。そうした行為は小田急線の売店のその年配の女性の専売特許だと思っていた私は、意外な展開に驚いた。会社が違う、駅が違う、そして人が違う中でも、同様のサービスが展開されていたのだ。
最近では、SUICAによる決済も進んできているようなので、数年のうちには、駅売店が本格的なCRMの拠点になるのかもしれない。しかし、ある意味、相手が誰かもわからない匿名性の中で特別扱いされたほうが、この場所には相応しいような気がするのは私だけか。朝の出勤前から「○○さま、おはようございます。本日はなにを・・・」などとしたり顔で言われるよりも、たまたま通りすがりに気持ちのいい接客サービスを受けたというほうが、朝のすがすがしい気分にフィットするのではないだろうか。