お客様からのご指摘

2005年6月29日

コールセンターの取材に行くと、最近はお客様からのクレームを、
お客様からのご指摘と表現する企業が多い。
私自身はあまり取材に行かないのだけれど、
弊社の編集スタッフの原稿をチェックしているとそう思うのだ。
なんだか、社会を煙に巻くような言い方だな、と思って見ているが、
ご指摘かクレームかはどもかく、それは他人事ではない。
今日、外出先から会社に戻ってくると、旧知の方から、
弊社からのDMの宛名に書かれている個人情報が間違っている、
というご指摘が届いていた。(うーん、確かにご指摘は便利だ!)
社名の一文字が抜けていることに加えて、
お名前の漢字の線が1本欠けているのだという。
その方は弊誌の創刊当時にとてもお世話になった大先輩だが、
もう何年もお目にかかっていない。
つまり、大変なご無沙汰をしているところ、
こうしたご指摘をいただいてしまったのだった。
ご指摘のメールは、弊社の問い合わせ用のアドレスに入った。
件名に私の名前が入っていたので、弊社の担当が、
DBを確認すると同時に私に転送してくれていたのだが、
担当が調べたところによると、そのデータの入力日は1998年。
つまり、もう7年間も誤った宛名でDMを送り続けていた。
ということはつまり、意に反してとは言うものの、
都合20回ぐらいは不愉快な思いをさせていたことになる。
担当は、もうDMなどをお送りしないようにしましょうか、と言う。
しかし、送られてきたメールには、
「もうDMを送るな」とは書かれていないし、
自分の直感で、そういうことじゃないんだという気がした。
そこで私は、即刻・・・と言いたいところだが、
実はかなり考えた上で、それでも当日のうちにお詫びのメールを書き、
「これに懲りず、今後ともよろしくお願いいたします」と結んだ。
すると、この大先輩からすぐに返信メールが届いた。
曰く、「『これに懲りず』なんて言わないで、食事でもしようよ」。
正直、とても嬉しかったと同時に、お客様からのご指摘に、
ただひたすら申し訳なかったとお付き合いを辞退するのではなく、
お詫びをすると同時に、お付き合いを継続したいという
こちらの意思表示をすることの大切さを感じた。
お客様にご迷惑をおかけしたことでこんなことを書いて、
不謹慎だと言われてしまうかもしれないが、
少なくとも弊社のスタッフには、お客様にご迷惑をおかけしたときには、
謙虚にお詫びをしながらも、そこから逃げることなく、
今のお客様を大切にしていって欲しいと思う。
つまり、お客様との関係づくりは、弊誌のテーマでもあるけれど、
弊社自体のテーマであり、かつここにいる1人1人のテーマでもある。
新聞紙上を騒がす他人事ではなく、今、私たちが直面している
ことなのだということを理解して欲しいと思うのだ。
だから言うわけではないが、そうでないと、
いい雑誌なんてできるわけがないと私は思っているのだ。