コールセンターの取材に行くと、最近はお客様からのクレームを、
お客様からのご指摘と表現する企業が多い。
私自身はあまり取材に行かないのだけれど、
弊社の編集スタッフの原稿をチェックしているとそう思うのだ。
なんだか、社会を煙に巻くような言い方だな、と思って見ているが、
ご指摘かクレームかはどもかく、それは他人事ではない。
今日、外出先から会社に戻ってくると、旧知の方から、
弊社からのDMの宛名に書かれている個人情報が間違っている、
というご指摘が届いていた。(うーん、確かにご指摘は便利だ!)
社名の一文字が抜けていることに加えて、
お名前の漢字の線が1本欠けているのだという。
その方は弊誌の創刊当時にとてもお世話になった大先輩だが、
もう何年もお目にかかっていない。
つまり、大変なご無沙汰をしているところ、
こうしたご指摘をいただいてしまったのだった。
ご指摘のメールは、弊社の問い合わせ用のアドレスに入った。
件名に私の名前が入っていたので、弊社の担当が、
DBを確認すると同時に私に転送してくれていたのだが、
担当が調べたところによると、そのデータの入力日は1998年。
つまり、もう7年間も誤った宛名でDMを送り続けていた。
ということはつまり、意に反してとは言うものの、
都合20回ぐらいは不愉快な思いをさせていたことになる。
担当は、もうDMなどをお送りしないようにしましょうか、と言う。
しかし、送られてきたメールには、
「もうDMを送るな」とは書かれていないし、
自分の直感で、そういうことじゃないんだという気がした。
そこで私は、即刻・・・と言いたいところだが、
実はかなり考えた上で、それでも当日のうちにお詫びのメールを書き、
「これに懲りず、今後ともよろしくお願いいたします」と結んだ。
すると、この大先輩からすぐに返信メールが届いた。
曰く、「『これに懲りず』なんて言わないで、食事でもしようよ」。
正直、とても嬉しかったと同時に、お客様からのご指摘に、
ただひたすら申し訳なかったとお付き合いを辞退するのではなく、
お詫びをすると同時に、お付き合いを継続したいという
こちらの意思表示をすることの大切さを感じた。
お客様にご迷惑をおかけしたことでこんなことを書いて、
不謹慎だと言われてしまうかもしれないが、
少なくとも弊社のスタッフには、お客様にご迷惑をおかけしたときには、
謙虚にお詫びをしながらも、そこから逃げることなく、
今のお客様を大切にしていって欲しいと思う。
つまり、お客様との関係づくりは、弊誌のテーマでもあるけれど、
弊社自体のテーマであり、かつここにいる1人1人のテーマでもある。
新聞紙上を騒がす他人事ではなく、今、私たちが直面している
ことなのだということを理解して欲しいと思うのだ。
だから言うわけではないが、そうでないと、
いい雑誌なんてできるわけがないと私は思っているのだ。
お客様からのご指摘
2005年6月29日