今日は、仕事仲間でもある友人と下北沢でランチをした。
訪れたのは、比較的最近、オープンした「農民カフェ」。
千葉で栽培したオーガニックな米や、仲間の農家が育てた
有機野菜を使ったカジュアルな和食を供する一軒屋レストランに、
有機野菜を販売する「路地マーケット」が併設され、
オリジナルの「農民ブランド」のTシャツなども販売されている。
この店のことは、以前、ネットで見かけたことがあり、
ちょっと気になっていたので、この機会にと足を運んでみたのだ。
店に入ると、スタッフは「お帰りなさいませ」という挨拶で迎えてくれる。
そして、私たちは半ば屋外の、広い縁側のようなところに席を取り、
友人はカレーを、私はワンプレートランチを注文、
1時間ほど話をしてお会計をしてもらった。
店を出るときの挨拶はもちろん、「行ってらっしゃいませ」だ。
店に入ったときの挨拶も、帰るときの挨拶も、
もしかしたら“ませ”は付いていなかったかもしれないが
(頭の中でアキバ系の話と一緒になっているかも)、
そのユニークな挨拶は、普段はともすれば不規則で、
栄養の偏った食生活を営む現代の若者が、
久しぶりに実家に帰ってきたときのようにお客さまを迎えようとの
オーナーの想いに基づき、実践されているらしい。
店を出ると、表には若者たちの長蛇の列。
そこはさすがに、“久しぶりの実家”というよりも、
“いまどき流行のカフェ”にほかならないが、
店のコンセプトを素材や料理のみならず、
接客にまで具現化しているのはなかなかのもの。
「お帰りなさいませ」「行ってらっしゃいませ」と言われれば、
誰しも悪い気はしないものだ。
その店を出た私たちは、コーヒーを飲んで帰ろうと、
駅に向かう途上にある「Village Vanguard Diner」へ。
ここは名古屋本社の雑貨店、Village Vanguardが経営する
ハンバーガーが売りのカジュアルなレストランなのだが、
たまたま店の入り口付近にいたスタッフに尋ねると、
まだお昼時とはいえコーヒーだけでもOKとのこと。
単に美味しいコーヒーが飲みたければ、
別の選択もあったのだが、あえてこの店を選んだのは、
ここもまた接客が優れているため。
何年か前にこのブログでも紹介したことがあるのだが、
さながら友人同士のようなカジュアルな言葉遣いや自然な笑顔、
スタッフがテーブルの横にかがんで客とおなじ目線で料理の説明をするなど、
その接客は店のコンセプトと違和感なく融合している。
かつては“接客”と言えば、ひとつの雛形があり、
どんな店もそれを目指さねばならないかのような印象があったが、
気が付けばいまでは、店のコンセプトに応じた多様なスタイルがあり、
それぞれの店で働く若者たちがいとも自然にそれを身につけている。
こうした型にはまらない接客が一般化したのは、いつ頃からだったのか。
その店で30分ほど話したあと、友人と別れた私は、
渋谷の109のカリスマ店員や、アキバのメイドカフェなど、
ユニークな接客スタイルのルーツを考えながら家路に着いた。
接客スタイルの変遷の研究は、面白そうである。
いまどきの接客スタイル
2010年5月22日