今週はリサイクルきものショップ「たんす屋」を展開する
東京山喜㈱の中村健一さんにトップインタビューを行った。
東京山喜㈱は大正13年に呉服卸商として設立、
今年で創業82年目を迎える企業。現社長の中村さんは、三代目に当たる。
中村さんが社長になった1993年当時の卸売先は約500件。
この500件を対象とした卸売りをいかに活性化するかが使命だったのだが、
折りしもバブル崩壊により高額な着物は売れなくなっていたことから、
生産を中国に移して“より良い着物をより安く”生産することに注力。
当初4年間は増収を続け、1997年5月期の売上高は37億4,000万円に達した。
しかし、バブル崩壊の煽りで得意先の信用不安が広がる中、
翌1998年には売上高が30億円にまで減少、赤字に転落することになった。
着物のマーケットは、ピーク時には2兆円に達していたものの、
1998年には四分の一の5,000億円にまで縮小していた。
消費者調査を行うと着物を着たいという人は90%に達するものの、
実際に着ている人は10%に過ぎず、
その理由としては価格が高いという声が多かった。
そこで中村さんは、たまたま1998年12月に訪れた
ブックオフの荻窪店にヒントを得て、
着物でもリサイクルショップが展開できないかと検討。
翌1999年9月にリサイクル着物ショップ「たんす屋」の
一号店の出店に漕ぎ着けたという。
それから81ヶ月を経た今日、同社が展開する店舗数は、
直営が72店舗、FCが31店舗、合わせて103店舗に達する。
双方を合わせた末端売上高は、2006年5月期で39億円に及び、
すでに1997年5月期の売上高37億4,000万円を上回っている。
また、創業時からの卸売業は2006年5月期でゼロになったが、
中村さんはこれを「80年続けてきた卸売業を、
80ヶ月足らずでゼロにした」と表現する。
粗利益率は、卸売業当時と比べて約40%もアップ。
加えて、代金回収サイクルも短縮化し、
キャッシュフロー経営に移行することができたという。
中村社長は羽織袴姿でインタビューに対応、
2時間近くにわたり、これまでの軌跡を熱く語ってくださった。
ブックオフにヒントを得たというその成功の秘訣、
自らを“お客様の着物ライフをお手伝いするサービス業”
と位置付けての今後の事業展開については、
月刊「アイ・エム・プレス」9月号に掲載します。お楽しみに!
「たんす屋」インタビュー
2006年6月24日