以前にもこのブログでご紹介したように、月刊「アイ・エム・プレス」
5月号の特集は、「続きはWebで クロスメディアの可能性」。
入稿日が近づいてきたこともあり、先週からはスタッフの書いた原稿が
私のところにまわってきて、業務の合間を見ては確認作業を行っている。
今回の特集は、4社におけるクロスメディアのケーススタディに加え、
以前、このブログでご紹介した専門家による座談会、
そして、(社)日本通信販売協会の理事・主幹研究員の
柿尾さんへのインタビューに総論を加えた4つのチャプターで構成するのだが、
これらの原稿を見ている中で、いくつか思ったことがある。
ひとつは、クロスメディアにおいて使われるメディアの変化について。
現在、注目されているところのクロスメディアは、
テレビCMや交通広告からWebサイトへ見込み客を誘導するものが主体だが、
ネットが普及する以前のクロスメディアは、マス媒体から資料請求を訴求する、
アナログからアナログへといった流れであったものが、
ネットの普及に伴い、特集のテーマでもある「続きはWebで」に象徴される、
アナログからネットへという流れが急激に増加してきたこと。
そして今では、米国のアマゾンやEベイが紙メディアの利用を開始し、
ネットからアナログへといった動きが注目されている。
すなわちクロスメディアの方向は、アナログからアナログへにはじまり、
アナログからネットへ、そしてネットからアナログへと進展、
もはやそのベクトルは“何でもあり”とも言える状況を呈してきた。
もうひとつ思ったのは、クロスメディアの目的についてだ。
一般広告主におけるクロスメディアは、顧客接点における経験価値重視の気運、
あるいは、AIDMAからAISASへといった生活者の購買プロセスの変化に伴い、
テレビCMで商品・サービスに興味を持った顧客をWebサイトに誘導し、
詳細な企業または商品情報を優れた経験価値と共に提供することで、
企業や商品のブランド・イメージを高めてファン化を推進し、
店頭での購買を間接的に後押しすることを主旨としていると言えるだろう。
今回の取材対象各社では、Webサイトへのアクセス数や検索数などを
指標に効果測定を行っているようだが、単なるリーチに止まらず、
コンテンツごとのアクセス数や滞在時間を分析したり、
Web上でのアンケート調査結果などとクロスすることで、
さらに本質に迫る効果を測定することもできるだろう。
これに対して、ダイレクトマーケターにおけるクロスメディアは、
広告の投資対効果の向上を目的に展開されている。
ダイレクトマーケターには、メディア=売り場とする通信販売会社のみならず、
メディアにより獲得したリードを営業担当者や店頭につなぐケースもあるが、
いずれにしても、広告の投資対効果の向上を狙っていることに変わりはない。
しかも、個々のメディア、あるいはキャンペーン単位の売上高のみならず、
最近では、獲得した顧客の生涯価値までもが視野に入れられている。
こうしてクロスメディアで利用されるメディアとその目的を考えていると、
今さらながらではあるがインターネットの優位性を痛感させられる。
インターネットは、いわゆる広告媒体としてはもちろん、販売チャネルとしても、
また、注文受け付けのチャネルとしても機能しうる。
つまり、AIDMAにせよ、AISASにせよ、インターネットは、
購買プロセスにかかわるすべての機能をワンストップで提供できるのだ。
このような意味では、今や、Webサイトをどう位置づけ、どう活用していくかが、
クロスメディア設計のスタート地点と言えるのではないだろうか。
5月号の締め切り迫る
2007年4月1日