通販躍進の理由

2010年1月31日

今週は、月刊『アイ・エム・プレス』2月25日発行号の締め切り。
結果、この土日は、出社はしないまでも、
自宅で編集スタッフが書いた原稿をチェックしている。
2月25日の特集は、久々に通販そのものにフォーカス。
昨年の6月26日の日本経済新聞に載っていた、
リアル&ネットの双方を含む通販の売上高が
百貨店やコンビニを上回る8兆円規模に達したという記事を見て、
いつかその要因を探る特集を組もうと思って半年強。
遅ればせながら、その実現の運びとなったわけだ。
特集の構成は、①総論、②成功事例、③インタビューの三章立て。
インタビューでは、これまでも月刊『アイ・エム・プレス』誌面に
何度となくご登場いただいた、(社)日本通信販売協会
理事 主任研究員の柿尾正之さん。
柿尾さんには、私が前職の調査会社に勤務していた時代から
お世話になっていたので、もうかれこれ25年くらいのお付き合いになる。
柿尾さんは、通販業界を以下の5グループに分類。
①通販専業系:商品の企画力を武器に成長
②メーカー系:販路の開拓や既存流通チャネルの一環として参入
③マルチチャネル系:既存の流通チャネルを持ちながら通販に参入
④個人商店系:モールに依存した小規模企業が中心
⑤サービス系:おなじみの保険・旅行に加えて新領域が続々登場
弊誌ではこの中から、ネット系の専業通販、メーカー系通販、
マルチチャネル系通販、サービス系通販の4分野について、
それぞれこの不況下でも成長著しい企業をピックアップし、
各社における通販の展開方法を取材、成長の秘訣に迫った。
柿尾さんのインタビューを通じて印象に残ったのは、
ファッション、食品などの分野で商品の情報商材化が進み、
通販、中でも特にネット通販での売れ行きが好調だということ。
キーワードとしては、ファッションでは「東京ガールズコレクション」、
食品では「安全志向」「お取り寄せ」などが紹介された。
また、無形の商品である旅行・保険などのサービスは、
“現物を確認できない”という通販のデメリットの影響を受けず、
通販との相性がいいことで知られているが、
加えて最近では、コンテンツのダウンロード販売に代表されるように、
さまざまな新分野が台頭していることを指摘された。
一方、かねてより通販での売れ筋のひとつとなっている家電・PCでは、
テレビショッピングの「ジャパネットたかた」の躍進を例に取り、
秋葉原の家電専門店がスペックばかり強調するのに対して、
同社では顧客にとってのベネフィットをしっかり伝えることで、
高年齢層の顧客を取り込んでいることを強調された。
同社の高田社長には、月刊『アイ・エム・プレス』150号
インタビューさせていただいたが、テレビとは異なる物静かな物腰で、
商品の企画からコミュニケーション、そして販売後に至るまでの、
一連のサービスをブランドとして確立することの重要性を
唱えておられたことが印象に残っている。
柿尾さんのインタビューの最後を飾ったのは、通販“業界”をめぐる話。
通販というのは百貨店やコンビニなどといったひとつの業態ではなく、
販売手法であるというのが柿尾さんの主張。これは私もまさに同感で、
ましてやダイレクトマーケティングとなるとそれは販売手法に止まらず、
営業支援や販促をも含むマーケティング手法だと考えている。
そうなると、もういくら時間があっても話は尽きない、
そこで本インタビューは、「続きはWebで」ならぬ、
「続きは飲みニュケーションで」と締めくくられることになった。
以上、月刊『アイ・エム・プレス』2月25日発行号の
特集「通販躍進の理由」(仮題)編集の舞台裏をお伝えした。
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