昨日は、無印良品でおなじみの、㈱良品計画にお邪魔した。
松井社長へのトップインタビューである。
無印良品がリリースされたのは1980年のこと。
「わけあって、安い」というキャッチフレーズとともに誕生した
当時のイメージは、今でも私の脳裏にしっかりと焼き付いている。
それから二十余年。無印良品は一時の業績低迷期を脱出し、
2005年には過去最高の売上高を達成。
現在、「わけあって、安い」のコンセプトを踏襲しながらも、
「World MUJI」「Found MUJI」「これでいい」の3つの切り口で、
リブランディングを推進中という。
昨日のお話の中でも最も興味深かったのは、
店舗とインターネットによるマルチチャネル展開について。
現在、無印良品は衣料・生活雑貨・食品など約7,000アイテム。
これを店舗とECにより販売している。
店舗数は、直営・FC合わせて約300店で、
このほかファミリーマート約3,000店でも一部の商品を展開。
一方、ECでは衣料・生活雑貨を主体に、一部の食品も取り扱っている。
2005年度の単体での売上高1,265億円のうち、
インターネットによる売上高は2.8%の35億円。
松井社長によると、マルチチャネル展開を開始した当初は、
あくまでもECによる売り上げの獲得を狙いとしていたが、
スタートした2000年から4年間は売上高が低迷。
2004年から一転して急激な伸びを見せているとのこと。
2003年までは近隣に無印良品の店がないとか、
小さな子供がいて外出がままならない層が利用していたのに対し、
2004年からはネットで商品情報を確認した上で、そのままネットで、
あるいは店舗に出向いて購入する層が増えてきたとか。
こうした中で2004年以降、ネット上のショップは、
単にECによる売り上げを確保するだけでなく、
既存店舗への誘導という新たな機能を担うようになっている。
また、店舗とECの客単価を比較すると、
圧倒的に後者が高単価で、前者の6倍以上にも及ぶ。
これはECでの売れ筋が、家具などの高額商品が多いため。
今ではアイテム数が膨らんでいることに加え、
家までラインナップされているだけに、
店頭に置ける商品が限られてくるということもあるのだろう。
このほか同社では、インターネット上のコミュニティを通して、
お客様の声に基づく商品開発にも果敢にチャレンジ。
これは300個の注文があったら商品化に踏み切る仕組みで、
既に数々のヒット商品を産み出している。
中でも最も売れているのは、カバー付で16,800円の
「体にフィットするソファ」。
すでに単品で14億円を上回る販売実績を上げているそうだ。
同社では今年度、ECにより50億円の売上高を達成する見込み。
これが実現すれば、ECは、単店で最大規模を誇る
有楽町店の売上高を上回ることになる。
収益性の観点では、ECと店舗の物流センターの
共用化を図ったことに伴い、ECが店舗を上回るほど。
こうした中、今後はインターネットが同社のビジネス展開に、
ますます大きなインパクトを与えることになるのだろう。
なお、インタビューの結果は、月刊「アイ・エム・プレス」
7月25日号に掲載される予定である。
良品計画インタビュー
2006年6月1日