やれやれ。ようやく週末になった。
月刊誌の入稿は終わったとはいうものの、
セミナーのパワポ作りとか、新刊の原稿チェックとか、
休みとは言え、仕事は山のようにある。
先日、社員やライターが書いた原稿チェックをしながら、
考えたことがある。
以前にある広告会社のダイレクトマーケティング部門に
企画プレゼンに行った時、持参したパワーポイントの企画書を一瞥して、
「編集の人がつくった企画書じゃないみたい」と言われたことがある。
彼によると、出版社や編集プロダクションが作成した企画書は、
ワードで文章主体に書かれていることが多いのに対し、
広告代理店や制作会社の企画書は、
パワーポイントでビジュアルに作成されていることが多いとのこと。
その時は「なるほど!」とは思ったものの、
さほど気にとめなかったのだが、
原稿チェックをしながら改めてそのことを思い出し、
以下のようなことを思った。
■出版社・編プロ系→ストーリー重視
■広告会社・従来型マス系→イメージ重視
■広告会社・ダイレクトマーケティング系→ロジック重視
■マーケティング・リサーチ会社系→ロジック重視
出版社・編プロ系の人間は、最終的なアウトプットが文章表現に
依存するところが大きいだけに、収集した情報を編集し、
いかに面白いストーリーに仕立てるかが腕の見せ所だ。
広告会社の場合はどうかというと、
従来型マス系の最終的なアウトプットはマス媒体の広告表現であり、
イメージ訴求によりいかにブランディングに寄与するかが求められる。
一方、ダイレクトマーケティング系の場合は、
「何人の新規顧客を獲得した」とか、「見込み客を獲得した」とか、
キャンペーンの結果こそが最終的なアウトプットであり、
狙い通りの効果を上げるためには、
キャンペーンを構成する個々の要素を、
矛盾なくロジカルに繋ぎ合わせることが求められる。
そしてマーケティング・リサーチ会社系のアウトプットは、
正しく設計された調査の、ロジカルな集計・分析結果であり、
そこにはストーリーだての面白さとか、
イメージ訴求のような右脳的要素は、いっさい含まれていない。
このように、それぞれに“モチは餅屋”的なところがあるわけだが、
一方で、編集の人間が書いた企画書はストーリーに埋没して、
ロジックが見失われがちなことも少なくないとか、
従来型マス系の広告会社の人間が書いた企画書はイメージに埋没して、
やはりロジカルさに欠けるという話も、よく耳にする。
そしてもちろん、ダイレクトマーケティング系においても、
ロジックだけでストーリー性がないのでは、
顧客の財布の紐を緩めることはできないであろう。
最近、広告会社においては、従来型マス系と、
ダイレクトマーケティング系の融合が進行すると同時に、
データマイニングなどによる顧客分析が進み、
ターゲットグループごとの購買動機に基づく表現が模索されているが、
果たして、出版・編集系はどうなのか?
一般向けの書籍や雑誌ならいざ知らず、
弊誌のようなビジネス誌、ましてやマーケティングの情報誌では、
ストーリーに埋没してロジックをないがしろにしたのでは、
マーケターである読者の方々の満足は獲得できないだろう。
もちろん、ロジックの箇条書きやコンセプトチャートばかりで
ストーリー性がなくては、取材先の方々の想いが伝えられないし、
そもそも、読んでいても面白くはない。
そういう意味では、弊誌の編集スタッフには、
ロジックをきちんと押さえた上で、
取材先の方々や編集スタッフ自身の思いを伝えるストーリーを構成し、
さらに、そのストーリーを通じて、
読者の感動を誘うことができるようになってもらいたいものだ。
正直言って、このハードルはかなり高い。
編集系・広告系・調査系
2005年5月14日